フリ-クス さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
サブカル好きな社会人のコメディ、じゃないかしら
オタクは市民権を得たのかどうか論争は昔っからありますが、
やっぱそれは『程度』によるのではないかと。
こざっぱりして愛想のいい若者が
「僕、アニメとか好きっすよ。新作とか大概みてますし」と言っても
ふつうは「へえ、そうなんだ」ぐらいにしかならないですよね。
でも、せめて髪ぐらい小まめに洗えよ、と言いたくなるような奴が、
美少女キャラのTシャツ着て「にゃんぱすー」とか言ってたら、
残念ながら「きもっ、アニオタきもっ」となるのでは。
そもそも『オタク』という言葉自体は『萌え』と同じで
明確な定義が存在しないものです。
決して、ネガティヴな言葉だと言い切れるものじゃありません。
ただ、語感的な印象で言うと、一般的にはいまだに
『サブカル好き』=ク-ル、知的、リア充、
『オタク』=偏執的、変りもの
みたいに使い分けられているような感じ、ありますよね。
『OTAKU』は海外じゃ誉め言葉だなんて、一般の人はまず知らんし。
もちろん『サブカル好き』も『オタク』も、
つまるところおんなじことをやっているわけです。
では、その分水嶺はどこにあるのかと言うと、
残念ながら『見た目』と『ふだんの社会性』ではないだろうかと。
こざっぱり、あるいはこじゃれた格好をして、
ふつうの人とふつうに付き合っていけるコミュ力があれば、
性根が声ブタだろうが腐ってようが知らんがな、という話です。
マクラがめっちゃ長くなってしまいましたが、
そうした観点で言うと、
この作品は『サブカル好きなリア充社会人』のお話です。
リア充なんてオタクとは認めん、
軽々しくオタク用語や小ネタをはさむんじゃねえっ、
なんて言う人には絶対おすすめできません。
いやいや、いまは逆にそっちの方がフツ-じゃないの、
という方にとっては、
けっこう気楽に楽しめるテイストに仕上がっております。
なんと言っても、平和なのがいい。
守備範囲が微妙にすれ違っている四人のメインキャラですが、
誰も相手を否定せず、
一人一人の個性や嗜好をきちんと尊重しています。
その上で、じゃれあうように自分の『好き』に相方を引っ張るさまは、
ほんと、微笑ましいし、面白い。
で、役者さんがまた、すごくのびのびしたお芝居をしています。
杉田さん、沢城さんの両巨頭は安定の面白さだし
(てか、沢城さんめっちゃ楽しそう)
成海役の伊達朱里紗さんが、最高のはまり役なんです。
伊達さんはプロ雀士と二足のわらじという変わった役者さんですが、
フラのある基礎声質と掛け合いの『勘』がものすごくいい。
『月刊少女野崎くん』で
初めて小澤亜李さんの芝居を聴いた時と同じ衝撃を感じました。
(そう言えばアレにも沢城さん出ていましたね)
あと、悠木さんのオタ芝居、まじで笑えます。
まあ、どこまでいってもお気楽コメディです。
人生における大切な何か、みたく大層なものは探さず、
オタクとは何ぞや、みたく結論の出ないことを考えたりもせず、
平和に楽しく観るのがよろしいかと存じます。