いまい さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
今季覇権アニメ優勝 ウマ娘達は風になる
2021年冬アニメ、「呪術廻戦」、「Re:ゼロから始める異世界生活secondシーズン(後半)」など期待の新作、待望の続編で作画、知名度ともに有力な作品がひしめく中、今季の覇権アニメは間違いなく「ウマ娘プリティーダービーsecondシーズン」だろう。
パラレルワールドにて史実に基づいた実際の競走馬がウマ娘なる美少女になり夢に向かってひた走る姿を描いた本作。そんななかで憧れのシンボリルドルフの背中を追い無敗の三冠ウマ娘を目指すトウカイテイオーことテイオーが今期の主人公である。
王道とも呼ばれる友情・努力・勝利を全面に押し出した作風は良くも悪くも使い回された手垢だらけの古典文学であるが、お涙頂戴、ご都合主義な展開も今作に至っては史実に基づく忠実な再現、各ウマ娘達の関連性、声優陣の名演でその有り余る魅力を遺憾無く発揮している点も非常に評価の高い点であろう。
作画に関してもキャラクター達の心情や人間関係を繊細に描くことに評価のあるP.A.WORKSであり、後述する場面にぴったりな声優達による名曲達が花を添えている。
事実は小説よりも奇なり、これが本当に起こった事実であることを今一度ここに記しておきたい。
以下、本編感想(最終話まで視聴済)
ネタバレを含む
{netabare}
始まりは、ウマ娘プリティーダービーsecondシーズン第1話(ニコニコ動画)のラストカットである。
「受け継がれる皇帝の血筋、無敗の天才の物語はここで幕を下ろし、不屈の帝王の物語がここから始まる」
2021年1月5日、赤字ニキのこの一言にてアニメウマ娘プリティーダービー2期は幕を開けた。
1期の天真爛漫、元気印のテイオーとはうってかわり当初から暗い展開が続く2期に「早く続きがみたい、でも...」と、毎週胸が締め付けられた。
天皇賞・春のTM(テイオー、マックイーン)対決、極限まですり減らした鬼気宿るライスシャワーとマックイーンの対決も注目となったが特に10話以降の盛り上がりは尋常ではなく、私が1番アツいアニメと何度も筆を取ってきた「天元突破グレンラガン」と同じ熱量を私に与えてくれた。
キタサンブラックと同じ、幼き日のシンボリルドルフに見た憧憬。大型モニターに映るゴール前のツインターボの魂の叫びと激走。走りたい、でももう走れない、奇跡でもなければと迷うテイオーに最後に背中を押したのは終生のライバル、メジロマックイーンであった。
「奇跡は起きます。それを望み奮起する者の下に必ず、きっと。」
会場から沸き起こるテイオーコール、もう一度走ることを決意したテイオーの復活劇がもう一度ここから始まった。
復帰に向けてトレーニングを続けるテイオー。しかし最強のウマ娘であり続けると誓ったマックイーンはその後、予後不良1歩手間までの故障を抱えてしまう。もう走れない、目標にもなれない、約束は果たせないと膝を折ってしまった彼女の慟哭と降りしきる雨音が響く。
そんな彼女にテイオーがかけた言葉は、かつて同じく挫折しかけたテイオーにマックイーンかけたあの言葉であった。
「奇跡が起きなきゃ無理だ、だから起こすよ奇跡。僕が証明してみせる、僕とマックイーンがもう一度絶対走れるようになるって」
そんなこと不可能だと、しかし
「それでも僕は勝つんだ、奇跡を望んで頑張れば必ずできる」
走るのを諦めかけた時、挫けそうになった時いつも隣にマックイーンがいてくた。目標である最強のウマ娘でいてくれた。
「今度は僕の番だ、だから見ててマックイーン」
いつしか涙雨はやみ振り返ることもなく前を向いて歩き出す、1歩ずつ真っ直ぐに。
そして12月末、マックイーンの、ターボの、スピカの面々の想いを胸についに始まった最終話。
復活の有馬は史実・アニメともに「100年経っても破られない不滅の記録」と後世まで語られる伝説になり、中山競馬場を一陣の風となって駆けるテイオーの姿にみな震え叫び泣いていた。
奇跡は起こる、それを望み奮起する者のもとに必ず、きっと。
栄光と挫折を繰り返すなか三冠が消えた時、無敗記録が消えた時、3度目の骨折が発覚した時も不死鳥の如く不屈の精神でターフに戻ってきたテイオーに全国の競馬ファン、トレーナーニキ諸君が涙したのは言うまでもない。
感動をありがとうテイオー
さようならテイオー
私たちはその名を心に刻む
ガラスの帝王「トウカイテイオー」
{/netabare}