退会済のユーザー さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
おじさんが喜ぶ?
第二次大戦の兵器で美少女が謎の敵と戦う…というと今どきならよくある設定。
すでに『ストライクウィッチーズ』や『荒野のコトブキ飛行隊』『ガーリー・エアフォース』といった秀作があり、もはや定番の感すらある中で、どうやって差別化するのかなあと思いながら観ていました。
びっくりしたのは男キャラがとっても出張ってること。
普通美少女戦隊物なら(しかも百合風味があるなら)男は出来るだけ排除(表向きは)するものですが、ここまでオヤジ臭のする男を出していいのかと(汗。
ある意味ドキドキものでしたが、これは中年以降のオタク(自分とか)が喜ぶんじゃないかなあと思う反面、若い人はどうなんだろうと心配もしていました(笑。
ともあれ男性キャラの描き方が総じて爽やかで嫌味がないので、自分としては観ていて気持ちよかったです。
中盤までは爆笑もののギャグが炸裂したり(イケタソは傑作)、千葉さんが張り切っていたりと、やったもん勝ちみたいな演出が好き。
このアニメでは「死」というものを、あえて真正面から捉えようとした作品だと思っています。
特に、年端もいかぬ少女を戦場へ送り出すという矛盾…一昔前なら問題にもされなかった要素を、それなりにリアルな観点から描き出そうという意図を再三感じました。
悲壮さとか悲劇とかに溺れることなく、戦って死ぬということがどういうものなのかを、あるいは誰かを守るために生きる意味を問い掛けられている気がしてなりません。
その象徴とも言えるのが宮古ちゃんの限りない明るさで、あえて涙を見せない、「優しさ」という強さでみんなを引っ張り、その死を受け止める…そこにこの物語の真骨頂があるのだと。
戦友の死を背負って戦う傷だらけのクラウディアが、館山へ来て救われたのも、そんな明るさなのではと。
館山を舞台にしたご当地アニメのような態をしていますが、世界を救うとかではなく、あえて舞台のスケールを小さくし、そこに居る人々の暮らしを丁寧に描くことで、少女たちの「守りたいもの」が見えてきて、死を賭して戦う意義も初めて見えてくる…そういう細かな気配りのある作品です。
そのかわり、とにかく敵をバンバンやっつけるとか、絶望感に浸るようなカタルシスはあまりないので、その辺が好き嫌いの分かれるところかもしれません。戦闘シーンは非常に良く出来ていますが、「コトブキ…」の後だと抜きん出て凄いという感じまではしません。その代わり、舞台となる世界や人間模様へどれだけ興味が持てるかでこの作品の評価が分かれるような気がします。
声優さんはどなたも良かったですが、宮古という難しい役を稗田さんが良く演じてたなあと思います。あとアズズ役のM・A・Oさんが「シンフォギア」のヴァネッサと全然違うのでびっくりしました。あらためて声優ってすごいなあと。
最後にエンディング。
これは物凄く綺麗です。歌も絵もちょっと褒め言葉が見つからないほど。このクラウディアの美しさを観るだけでも観た甲斐がありました。風のようになびく光に満ちた光景…この動きはたまりませんね。アニメーターさん、よくぞ描いてくれました。
かつて戦火の中で命を落とした無数の魂が見守っているような、そんなアニメでした。