二足歩行したくない さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
現実世界と夢の世界が交錯しながら展開する物語
攻殻機動隊シリーズの神山健治監督作品。
原作なしのオリジナルで、寝るのが得意で、なぜかいつも同じ夢の続きを見てしまう女子高生を主役にしたファンタジー作品です。
2017年公開で、舞台を2020年東京オリンピック直前に設定しており、VRデバイスや自動操縦技術が登場する近未来SF要素がある内容となっています。
主人公は、岡山県倉敷市で父の「モモタロー」と二人暮らしをしている女子高生「森川ココネ」。
彼女は夢の中では「エンシェン」というハートランド王国の王女になっています。
普通の女子高生・ココネと夢の王女・エンシェンの実質二人が主人公で、現実世界と夢の世界が交錯しながら展開します。
夢の中のココネ・エンシェンは、魔法のタブレットを使い機械にや人形に命を吹き込むように自在に操ることができることで、王女でありながら王により塔に幽閉されます。
その国は度々"鬼"と呼ばれる巨大な怪物に脅かされており、エンシェンは、命を吹き込んだ人形「ジョイ」と共に塔を抜け出し、鬼を倒そうとする。
学校が夏休みに入ったある日、ココネは担任の教師から、"父が警察に連行された"と聞かされる。
ココネが、父が訪れたはずの母の墓に向かうと、そこにはタブレットと、人形がおいてあった。
そして、その晩、ココネの家に、タブレットを狙った謎の男達が押しかける、という展開です。
ストーリー終盤、父から昔聞かされていた物語をなぞっていると思っていたその夢の内容は、実は現実のとある出来事とリンクしていることにココネは気づきます。
それまでは、夢と現実世界は別に存在していたのですが、少しづつ垣根が薄くなり、やがてその境界は崩壊します。
"行き過ぎた科学は魔法と見分けがつかない"というようなことをアーサー・C・クラークは言ったそうですが、本作で伝えたいことはそういうことなのかなと感じました。
心根があれば夢は現実となる、旧態依然の固定観念を拭い去ることができれば、魔法を使うことは恐れることではない、素敵なことである、と伝わってくるような内容でした。
ただ、ビジュアルを優先してしまったため、テーマがぼやけた感じがしたのが惜しいと思いました。
主人公をバリバリ機械工学やってる学生にして、MITの学生も真っ青なアセンブラをその場で書いてマシンにブチ込むくらいのことをすれば、"それはつまり魔法である"ということもわかるのですが、そういう意味で主人公の女子高生にあまり必要性を感じませんでした。
ただし、ふとももと寝顔は、良いものですね。
楽しくみれましたが、中盤は平坦だった気がします。
よくできた練られたストーリーと感じたのと、ラストの展開は良かったです。
でもやっぱり近未来SFにするならもう少しサイバーな感じが欲しかったと、私的には思いました。