シャベール大佐 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
とんでもなく不摂生な身体を舞台にした、「はたらく細胞」のスピンオフ作品
「はたらく細胞」のスピンオフ作品。全13話。
この作品の舞台は、とんでもなく不摂生な身体。次から次へと危機的な状況がやってきて、中で必死に立ち向かっている細胞たちには申し訳ないのですが、この身体の持ち主の生活を想像すると、あまりに酷すぎてちょっと笑ってしまいます。それぞれのエピソード自体も、全体的に本編よりもドラマチックな展開で退屈しませんでした。また、さらに感心したのは、「楽しみながら学べる」という教育的な面白さに頼るだけではなくて、赤血球・AA2153を主人公としたひとつの物語としても、しっかり共感できる内容になっていたところ。真面目な労働者が過酷な現実に押し潰されそうになる姿は、それなりに多くの人にとって、決して他人事ではない身近な問題として刺さるものがありそうです。ブラック企業というと、とにかく会社が全面的に悪であり、そんなところにいるやつもアホなんだとか思いがちですが、この作品で描かれるように、実はその仕事自体は社会に貢献していたり、あるいは働いている人間がやりがいを持って自分の意志でやっている、なんてこともありえますし、でも、そうやって頑張ることが本当に正しくて美しいことかというと、必ずしもそうともいえなくて、そういうあたりも全部ひっくるめて、なにか独善的な結論を押し付けるような内容になっていないところも好感が持てました。
作画は綺麗。声は、最近活躍が非常に目立っている榎木淳弥が主役でしたが、こういった真面目系キャラにはぴったりですね。
最後まで観終わって、事前の期待以上に面白かったです。ただ娯楽アニメとして楽しむこともできますし、仕事や健康について考えるきっかけにしてもいい、なかなか良い作品だったと思います。