たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「守られる」ヒロインの終焉
DCコミックの「ワンダーウーマン」やMARVELの「キャプテンマーベル」、そしてディズニーの「アナ雪」以降のディズニープリンセスが提示する従来の女性像を覆した「行動する」ヒロイン像を象徴しているので、非常にトレンドにかなった設定だといえる。
まず、本作はディズニー「プリンセス」ものであるが、王子様(プリンス)は一切登場しなく、独立した女性を主人公に据えることにより女性の自立の物語の機能を果たしている。
世界各国で問題にされている男尊女卑の問題(日本でいうところの森オリンピック会長の問題など)に真っ向からNOを叩きつけているという意味では、ディズニーの政治的なスタンスが見える作品となっており、人権問題に厳しくなってるアメリカの状況がよくわかるような映画になっていると思う。
ただ、ポリティカルな内容が濃すぎるあまり、ディズニー特有のおとぎ話のカタルシスが薄いのと同時に、東南アジア(日本を含む)を舞台にしているが、東洋人からするといわゆるオーソドックスなアジア圏を想起させるような誇張した表現が多い。カンフーが出てきたり、アジア特有の細長い目と鼻と輪郭の顔などが、観る人からすると嫌味に見えなくもないのが欠点である。
しかし日本の「シン・エヴァ」が2D表現の頂点であり、「浮世絵」時代から続くケレン味たっぷりの表現なのに対し、ディズニーが量産する「西洋絵画」を中心とした完璧リアリティー主義の3D表現の対比が非常に「文化」の違いを現していて大変面白い。
どちらも良い意味で影響しあっていると思う。