「あの夏で待ってる(TVアニメ動画)」

総合得点
84.0
感想・評価
2735
棚に入れた
13538
ランキング
305
★★★★☆ 3.7 (2735)
物語
3.6
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.7

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おかむ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

切ない恋模様を描く王道青春モノ

『おねがい』シリーズで一世を風靡した黒田洋介と羽音たらくが久しぶりにコンビを組み、前年の『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』を手掛けた長井龍雪、田中将賀、明田川仁が参加している。
また黒田洋介と田中将賀は『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』で共に仕事をしている事等から『おねがい』シリーズや『あの花』との関連性が方々で言われている。
という様に過去の作品でお互いの実力を認めたスタッフが、製作に携わり、スタンダードな王道青春モノを丁寧に作り上げた一作という印象。
物語的には『おねがい☆ティーチャー』を髣髴とさせる御伽噺のようなSF要素を加えた切ない恋模様が主になっている。
話は主人公や周囲の友人達の気持ちにスポットを当てる形で丁寧に進行しする。
特に一方通行気味の恋模様が少しずつ表面化してくる切ない模様の表現は秀逸の一言である。
やや難点があるとすれば、黒田洋介の脚本が余りに『おねがい☆ティーチャー』へのアンサー、オマージュに寄っていた点であろうか。
正直、ヒロインが宇宙人である必要性が余り感じられなかった。
声優は基本的には画との違和感の少ない好演が目立った。
改めて戸松遥の演技の幅の広さに驚かされ、不思議なキャラを努め田村ゆかりの力量を再確認するなど、好材料も多い。
ただし主人公を務めた島崎信長の演技はやや棒気味。
メインと呼べるキャラを演じたのはほぼ初めてなようで、終始悪い意味で安定してしまったのが残念である。
キャラもまた主人公以外は非常に個性的、かつ魅力的で感情移入もし易い。
特に恋模様に絡んでくるキャラへの感情移入は非常にし易い。
りのんや山乃 檸檬といった脇を動くキャラは恋模様を間接的に盛り上げる上で非常に重要だったと感じる。
デザインも個性的であり、ビジュアル的にも申し分ない。
ただし主人公は除く。
繰り返す。ただし主人公は除く。
海老川兼武のメカニックデザインも独創的。
特に定評のあるモニターグラフィックスは流石の一言。
作画も申し分無しである。
舞台となった長野県小諸市の情景は美しく再現されている。
また恋模様を描いている為、感情の起伏が激しいにも関わらず表情等の描写も丁寧である。
後半にかけてのアクションシーンも秀逸である。
I've soundの紡ぐ音楽も作品のノスタルジックで切ない雰囲気を醸し出す上で非常にマッチしていた。
音響も違和感無しである。
オープニングは『おねがい』シリーズの各主題歌で作詞を努めたKOTOKOが手掛けるなど往年のファンには堪らない仕上がりになっている。
エンディングはsupercellのゲストボーカルとして『君の知らない物語』でその美声を披露したやなぎなぎがメジャーデビューシングルを歌うなど今後の活躍が期待される。
全体的に完成度の高い王道青春モノに仕上がっているばかりではなく、『おねがい』シリーズに対する一つの区切りのような作品になっている。
個人的には、最終話では『おねがい』シリーズとの関連性を暗示するような演出が有り嬉しかった。
是非、ご視聴をお奨めしたい。

投稿 : 2012/03/27
閲覧 : 283
サンキュー:

6

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