デルタ さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
リアルタイムで初めて見たエヴァ
自分がエヴァを初めて見たのはQ公開の翌年でした.テレビでやっていた序破Qを見て「面白い!」と感じテレビ版,旧劇場版を視聴,漫画も全巻買いました.最後のエヴァはいつ見れるんだろうかと準備万端で待つこと7年,初めてリアルタイムで見ることができた最初の,そして最後のエヴァが本作です.
伏線をありったけ散りばめていったQの続きということで,本当に本作でエヴァは終わるんだろうかと見る前は疑っていましたが,見終わった後には「綺麗に終わったな」と感じました.
もちろん回収されてない謎はいくつかありますが,それでも「エヴァ」という作品が本作で間違いなく終わったのだと自分は感じました.
{netabare} エヴァンゲリオンという作品は,テレビ版でも漫画版でも今回の新劇場版でも突き詰めれば,使徒侵略にかこつけて,ゲンドウという男が「死んだ妻に会うために世界を巻き込む話」なわけです.このエゴに溢れた欲望はどうカッコつけようとも,「いやいや世界を巻き込むのやり過ぎだろ.」という感想を抱かざるおえないものです.過去の作品ではこのどうしようもないゲンドウの願いをサラッと語った上で,夢半ばでゲンドウが死ぬという形で描いていました.しかし本作では,なぜそこまで死んだ妻に固執したのかというゲンドウの半生を描いた上で,死ぬ前のゲンドウが「シンジの中にユイを見出す」という描き方をしていたのは,新しいな思いましたし,今までのエヴァが描くべきだったが描いていなかった部分だと思いました.
ゲンドウ以外にもアスカ,レイ,カオルなどとシンジが一人一人向き合うシーンは,今まで救いがなかったキャラクターたちへの救済であると同時に,エヴァンゲリオンという作品を終わらせるために必要な描写だったと思いました.
{/netabare}
バトルシーンや戦艦同士の戦いは圧巻のクオリティでしたし,音楽も素敵でした.
エヴァらしさを残しながら,エヴァンゲリオンの長い歴史を素晴らしい形で締めくくった本作はアニメSF史に残る良作だったと思います.
この作品をリアルタイムで,劇場で味わえたことを幸運に思います.