シェル さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
時間は人をゆっくりと変えていく
冬目景さんの描くどことなく影のある女性が好きで、この漫画が始まった時からファンです。
好きな人に恋をしても、相手が振り向いてくれる訳ではないという片思いのはがゆさや、自分の希望的観測が招く理不尽なこと。あるあるだなぁと思わされました(笑)
でもそれだけでもなくて、合間にある日常のキャラクター達の何気ない会話や、ひょいと現れる新キャラクターによって少しずつ状況が変化していきます。
急展開があるわけでもなく、時間が少しずつそれぞれのキャラクター達を変えていく。そんな感じが観ていて心地よいんですよね~。
私も常に恋だの愛だのばかり考えて過ごしているのではなく、生活のために働きますし、職場の人間関係から得られることもありますし、家族の前でしか見せない姿もあります。いろんな事柄にそれぞれに面しているからこそ、一つの出来事への進展には時間がかかる(気持ちに折り合いがつく)と思っています。そして時間が少しずつ傷を癒やしていき、向き合っていく力にもなっていくこともあると思っています。
そういった自分の考えに、この作品の緩やかな流れがフィットしてくれました。
なお、漫画ではハルちゃんが遭遇する辛いことを見るのに気が引けてしまい、「続きは気になる、漫画も持っているけど読めない」という状態が長年も続いていました。
ですが、こうしてアニメ化されて観る機会があって、ようやく最後まで読むことができました。先述の通り、とても時間がかかったんですね・・・(-_-;)
アニメは漫画版を上手に再編してくれていて、制作スタッフのこの作品への思いがすごくこもっていると思います。自分はアニメ版でとても心地よい涙を流させてもらった気分です。漫画版は、皆に幸あれ!と万感の思いで読ませていただきました。
ちなみに作中の時代が古いため、現代の若者にはどう映るかは分かりませんが、片思いの辛さや、人と人とのつながりや、時の流れというものは共通するのではないかと自分は思います。リア充にはだるい展開、と思われるかもしれませんけどね・・・いいんです、片思いってそんなものですから。
ぜひいろんな人達にしんみりと、のんびりとハルちゃん達の恋の行方を見届けてらいたい作品です。ごちそうさまでした。(ていうかリクオが主人公だというツッコミはナシ、ということで・・・)