「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(アニメ映画)」

総合得点
84.1
感想・評価
442
棚に入れた
2035
ランキング
299
★★★★★ 4.2 (442)
物語
4.0
作画
4.4
声優
4.3
音楽
4.2
キャラ
4.1

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ネタバレ

sinnsi さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

第一に戦闘シーンがつまらない

{netabare}本作と前作Qはエヴァという陸戦が主な作品でヴンダーが初登場し、
空中戦艦戦に尺が取られる上、エヴァ自身も飛んで空中戦を繰り返す始末だ。
おそらく「宇宙戦艦ヤマト」ファンの、庵野監督の嗜好によるものだろう。

さらに展開上、使徒戦は無に等しい上に戦闘シーン自体も軽くなっており、
思い入れを感じられないザコ大群を瞬間で蹴散らすエヴァ無双にも尺が取られる始末で、
躍動感という部分は非常に感じられるだろうが、CGによる違和感がある上、
ただ目まぐるしく動かしていけばいいんだろうという意図も透けて見える。

最後の初号機vs13号機も、槍同士でつばぜり合いを繰り返す単調な具合でスケール感も小さく、
やはり違和感のあるCG活用により見ていて面白くない。
他のエヴァvsエヴァの戦いも同様で、旧劇の弐号機vs量産型のような熱さと勢いは一切存在しない。

本作と前作Qは、これまでエヴァで楽しんでいた要素が盛り込まれておらず、
エヴァを見ているという実感がまるでないのだ。

TV版・旧劇のアナログセル画の質感で描かれた味わい深い戦闘シーンでは、
巨大な人造人間エヴァがサイズ感に合わせてリアルに動き、未知なる強大な使徒を泥臭く倒していくのは胸が躍り説得力もあり、
それにもがき苦しむ人間の弱さをさらけ出したヒューマンドラマで、本当に一粒で二度おいしい作品が私にとってのエヴァだった。

最新デジタル技術を活用してリメイクした序と破でも、
第6の使徒(ラミエル)は無機質な3Dなのにギミックが表情豊かで愛着まで覚え、背景の描写も見事でいて、
第10の使徒(ゼルエル)はその破壊力と多重ATフィールドの描写が見事かつ強力で、あらがうエヴァの絶望感が伝わってくる。
それでも倒した後でエンドロールで流れるBeautiful Worldの余韻はこの上ない至福で、これも私にとってのエヴァだった。(地上波版では流れない)

Webやパンフレット情報によると、庵野監督が特撮等で培った技術をアニメに流用している部分もあるようだが、
上記のヴンダーといいなんでも混ぜればいい訳ではないはずで、それは闇鍋だろう。
もはやアニメの人ではないのかもしれない。

~~

ストーリーについてだが、
新たに出た設定として、見る人によって姿が変わるエヴァンゲリオンイマジナリーや、
式波シリーズと、好意を持つように設計された綾波シリーズという設定に加え、
それらのシリーズのオリジナル・クローンという部分においては、
いつまでもエヴァの空想を続けるファンを揶揄したものだと勝手に解釈している。
そしてそれが「さようなら、全てのエヴァンゲリオン」に繋がるのだろう。

しかしその過程で、あんなにも弱かったシンジが急に悟りを開いたように何人も諭していくのは、
成長までの描写が足らなすぎる上もはや別人で、やはりエヴァを見ている実感がまるでない。
誰だお前は。

また最終的にマリはシンジと付き合ったとされており、疑問視する声もあるが、
マリはユイ・ゲンドウ・冬月らと大学の頃から付き合いがあり、
同性であるユイに好意を抱いていたので、ゲンドウがユイを通してシンジと向き合ったように、
マリも同様の経緯があるとすれば、さして不思議ではない。

なおエヴァの呪縛があるにしても、マリが大学時代(16歳で飛び級した辺り)から歳を取っていないという謎は明かされないままで、
新たに明示された謎もいくつかあることから、庵野監督が本当に「さようなら、全てのエヴァンゲリオン」をしたかったのか疑問が尽きない。

劇中で「さようならはまた会うためのおまじない」というセリフがあるが、
結局良かった部分はTV版・旧劇(序・破)に限られるので、
もうエヴァという作品は思い出として、たまに振り返るぐらいでいいだろう。{/netabare}

投稿 : 2021/03/09
閲覧 : 643
サンキュー:

8

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