ヒロト さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 2.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
複雑な心情描写
よくありがちな学園恋愛物語ですが、私が知っている学園系作品の中では伏線が非常に多い方で、奥深い作品だと思います。自分の感情を口に出してみること、これは悲劇を呼ぶこともあれば奇跡を起こす可能性だってある。本当にそうだと思います。
卵という閉ざされた世界からなかなか上手く抜け出せず葛藤を抱え続ける成瀬。けがにより部員と軋轢が生じる田崎。中学以来ぎくしゃくした関係になっている坂上と仁藤。一言では片づけられない彼らの心情の動きを、セリフだけでなく表情や視線などを巧みに使い、緻密に描写できていたのではないかなと思います。ここは大きな高評価ポイントです。(坂上の担当声優が内山さんだったのも個人的には高評価ポイントです)。また、担任の荒川先生がかっこいいと思いました。
ところで疑問に思ったことが一つあります。この作品は、①「起こりうる奇跡を信じて、自分の気持ちをありのままに表現してみよう」ということと、②「口に出したことで生まれる喜びとか、あるいは目の当たりにする辛い現実とか、全部まるめて強く生きていこう」ということと、どっちをより伝えたかったのでしょうか?どっちの解釈も十分可能だと思うのですが、いずれにせよ、感情を何もかも自分で押し殺してしまうのは良くない点は共通していると思います。ストーリー展開だけでなく、各キャラの気持ちになって鑑賞してみると面白さが倍増すると思います。