ウェスタンガール さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ノンゼロサムゲーム
三面記事や週刊誌の中吊り広告に目が行ってしまう。
そんなゲスイ自分に嫌気が差して、興味がない風を装い、目を逸らすのである。
あるいは、にわかに綺麗事を並べ立て、物見高い野次馬根性丸出しの自分をひた隠しにする。
“いじめ”に勝者はいない。
残されたものが等しく傷を負うノンゼロサムな“ゲーム”である。
そして、これは“嫌味な”作品である。
不幸設定のつるべ打ち、何ならそれを押し売りしてくる“あざとい”ドラマである。
四人の少女達それぞれが、破綻してしまった他者と自身に、折り合いをつけようとするお話である。
そこで作者は、他者が一番であれという理不尽な課題を与える。
嫌な奴だ。
各話で登場する陳腐で醜悪なフリークス達が突き付ける他者と自分をめぐる囚人のジレンマ的な試練。
さらに、きっと破たんするに違いない、グループカウンセリング的なやり取りまで加えられる。
そんなストーリーが癇に障る。
なぜなら、絡めとられ、術中にはまっている自分が不愉快だからである。
アニメという道具立てが、コロナウィルスのごとく、生臭さに対する嗅覚を遮断しているからかもしれない。
脆弱で不安定な14歳、儚く美しい少女たちが戦わすチキンレース。
しかし、その先にあるのは、勝ち負けという、いわゆるゼロサムな結果ではなさそうだ。
まあ何とも…、大きなお世話である。
見終わって。
う〜ん、もう少し彼女たちへの愛があっても良いのではないだろうか。
主人公一人が、能天気にエロスの戦士を気取るの図は、余りにも安直に過ぎる。
フロイトの生煮えを食べろと言われても、吐き気がするだけで、何の感動も覚えないのである。
久々に腹が立った。
(2021/04/02)
そして凝りもせず、特別編なるものを視聴するのである。
前半はご丁寧にも総集編。
しかしそれは、混乱の中でイラつく私を、体よく丸め込むに足る前振りとなったことは確かである。
何より、実写画面をそのままデジタル化した背景描写、それに溶け込むキャラたちの作画が美しい。
加えて、仮想現実とは言え、あれほど苦しんだ経験に対して、500円ガチャだからねと、シレッと言わせしまうのだから、もういいや、と思うしかないのである。
めでたしめでたしである。