「異能バトルは日常系のなかで(TVアニメ動画)」

総合得点
76.4
感想・評価
1350
棚に入れた
8386
ランキング
716
★★★★☆ 3.6 (1350)
物語
3.4
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.5
キャラ
3.7

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

有象無象の内輪劇<アイロニーオブハーレム>

これまたチャレンジングな作品。面白かった。
気楽に見れる系かと思い視聴開始。早見沙織ファンは必修かも。

中二病……物語+0.5点
早見沙織…声優+1.5点

ボーナスポイント発生で高得点確定である。

よくあるワントップハーレムで、ある日不意に異能が発生。主人公安藤の異能はカッコいいだけの雑魚中の雑魚だが、他のヒロイン達はチート級。しかしバトル展開もなくただのドタバタ日常コメディが続く。舞台背景としては各地で精霊戦争という異能バトルが行われているのだが、参加していないはずの安藤達にも何故か異能が備わってしまったらしい。最終的には多少巻き込まれる程度でアニメ全体としては日常コメディ作品と言っていいと思う。ギャグパートもテンポ良くリズミカルな動きが気持ちいい。

早見沙織の全作品を見たわけではないのだが、鳩子は個人的トップ。好きなキャラじゃなくて好きな演技という意味で。俺ガイルの雪乃や俺妹のあやせ等、黒上ロングの聡明な役が多い中で、鳩子は不思議ちゃんまではいかない天然キャラ。悪く言えばちょっと頭の弱い子にも見える。もちろん一目で判別出来る声なのだが、他キャラよりも舌っ足らずで甘口の演技が新鮮だった。主人公の幼馴染なので距離感の近い語り口もたまらない。7話は勿論だが、普段のとぼけたのんびり口調からの緊張感を匂わせるところや、本題に切り込んでいく際のトーンの微調整具合は痺れる。ここら辺が通常時天然のんびり語りなために余計に際立っており、至福の時間を堪能出来た。

タイトルに「バトル」という文言が入っている割に主題ではないどころか全く蚊帳の外っていう部分を面白がれるかどうか。異能もガバガバというか詰める気すらなく設定を活かすどころか背景にしてしまっている。異能を冠しておきながらも全くもって設定ドリブンではないし、各々の異能も安藤以外はキャラに沿った能力というわけでもない。ヒロインたちの異能はクロスオーバーバトルでもしたら間違いなく最強クラスだが、この物語の中ではスパイス程度の存在感。どっちつかずどころかほぼ日常メイン。普通の日常だけでいいじゃんとか言うレベル。じゃあ日常だけでこの作品が成立するかといえばそうでもないわけで。中二キャラありきで発展させた設定だとは思うけど。

本作を好意的に捉えてしまうのは間違いなくキャラの魅力があるからこそ。無自覚鈍感主人公に見えるかもだが。恵まれた環境下の高校生にしては健全過ぎるかもしれないし、彼の女性に対するバックボーンは語られないので、安藤の興味は女子よりも中二を極めることに向いていると思うことにした。ハーレムでもゲスいエロ描写がないからこその爽やかな視聴感。安藤は皆と良好な関係を保っており回想でも補完。安藤の打算も下心も無い献身的とも言える行動の数々は好かれて当然の人物像。こういう他人の為に道化を演じられる人間には弱い。素直にイイやつだと思う。各ヒロインたちの自認は「安藤は嫌いではないが困ったやつだ」くらいのレベルからのもしかして…という心境が変化したというよりも自身の気持ちに整理がつくといった演出が多分自分好みなんだと思う。「ある出来事があって→好きになりました」「好きになったのは→このイベントでフラグが立ったから」とかいう雑なやつじゃなくて。イベント一発で好きになるわけないじゃん、って思ってしまうので。安藤の立ち回りを見ていれば迷惑はかけるにしろ良好な関係を築く能力は人一倍あるのはわかる。好かれるということには、まず日々の良好な関係性の積み重ねがあってこそ、ってところを上手くやってくれているのが好印象。長年募らせた想いの強さを7話のような形で表現するのも良かった。

こういうワントップハーレムはやっぱり主人公を好きになれるかどうかが一番肝心でしょうね。鳩子がいることはプラスにはなっても、それだけでは見続ける理由にはならないので。しかし幼馴染は不憫な役回りが多いこと。そういうのを健気だなあって上から目線に誘導させられるのはあまり好きではないんですが、鳩子にはヤラれました。

異能は個性のメタファーでもあるのでしょうね。人から見て役に立つかとかどう思われるかなんて関係ないよ、みたいな。それでいてありふれた能力バトル作品に対するカウンターでもあるような。皮肉とか批評を込めた設計というかそんな気がする。

あらゆる謎が投げっぱのブン投げENDなので憤慨される方もいらっしゃるでしょうが、そういう意味なら少なくともエヴァよりかは遥かにマシ。でもこれもエヴァもそもそも世界を語る気はハナから無いんだと思う。そこらへんはどちらも序盤で提示してる気はするのですが。

ビックリ展開や設定自体ではなく、相関のディティールで勝負しようとした日常作品なのかな。何も起きてないというよりコンセプトとして何も起こしていないのだからこれも人を選ぶ作品でしょうね。

中二キャラか早見沙織さんがお好きな方にはお勧め。

投稿 : 2021/03/03
閲覧 : 331

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