かがみ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
アポステリオリに生じる「輝き」
再び迎えたラブライブ。猛特訓の結果、新フォーメーションを会得し見事、地区予選を突破。けれどもノルマであった入学希望者100人には惜しくも届かず、浦の星の廃校が正式に決まる。目標を見失い「ラブライブなんてどうでもいい」と自暴自棄となった千歌だったが、浦の星の生徒たちの「ラブライブで優勝して浦の星の名を残す」と言う願いを託され、再びラブライブの頂点を目指す。
物語は一旦破壊されて、再び紡ぎ直された。果たしてAqoursはラブライブで優勝し卒業式/閉校式を迎える。そしてついに千歌は自ら発した「輝き」の問いに対して「自分たちの過ごしたかけがえのない時間こそが輝きである」であるという結論を得る。ここでいう「輝き」とは「ここではないどこか」にあるアプリオリな「輝き」ではなく「ある今ここ」と「別の今ここ」の間にある「と=時間」の中にアポステリオリに生じる「輝き」である。
この到達点は優れて2010年代中盤の気分に共鳴している。ラブライブのテーマである「みんなで叶える物語」とは、単一的な「つながり」の全体性へと回収されない複数的な個の確立の物語であった。そして本作1期ではこうした主題が「輝き」という概念として名指され、本作2期においてはそのひとまずの解が提示されたといえる。