「空の境界 第七章 殺人考察(後)(アニメ映画)」

総合得点
75.7
感想・評価
728
棚に入れた
4353
ランキング
780
★★★★★ 4.1 (728)
物語
4.1
作画
4.3
声優
4.0
音楽
4.1
キャラ
4.1

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ネタバレ

無毒蠍 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

一途な想いは人を殺す。それはまごうことなき純愛。

四年前の連続殺人事件の真相があきらかになり、
この物語は完結します。

登場人物たち本音が垣間見えたりして面白かったです。
黒幕というか一番やばいやつは五章で死んでるので、
そいつと比べれば殺人鬼はそこまで脅威でもなかったと思うんですよね。
問題は殺せるかどうかで理性のある人間と感情を捨てた殺人鬼の違いなど、
顕著にあらわれていました。
幹也と式の愛情がとても深くて感慨深かったですね。

全章通して観てみた印象なんですがこの作品は式と幹也の純愛でした。
式には自分を肯定する人間ではなくて否定してくれる人間が必要だったのかも。
否定したうえで拒絶はせずに受け入れる。
出会ったときから式を信じ続けるといっていた幹也だからこそ、
意味をなすことだったのでしょうか。
作中でも言われてましたが幹也はもう何年も前からいかれてるんですよ。
両儀式に心奪われた日から完全にいかれちゃってたんです。
ある意味、幹也が作中で一番異端だったのかもしれないね。

今まで観てきた者からすれば最後は感動できたしよかったんだけど、
やはり世界観にあまり馴染めなかったのが辛い。
魔術師たちの目的があまりにも漠然としすぎてつかみにくいよね。
冷めた目でみてしまえば重度の厨二病患者にしか思えない発言の数々。
それがこの作品の魅力でもあるんだけど専門用語の予備知識が、
こちらになさすぎて言ってる事があまり理解できませんでした。
原作がかなり古いらしいので荒削りな部分があり、
用語に関する説明なんかも多少はほしかったですね。

この作品の一番の魅力は章ごとに、
ほんの少しだけ垣間見える式というキャラの愛情です。
五章で巴を部屋にあげて日々を送っていましたが、
式は幹也以外の前だと男人格の織でいようとするんですよね。
もちろん幹也の前でもそうだったりするんですが、
幹也の前だと急に女性らしくなってこれが本当の式なんだろうなぁ、と思わされました。
五章ではそんな式の他者に対する微妙な距離感を巴を通して再確認できましたね。

人は一生に一度だけ人を殺す。
里緒を殺したのが式ならば、
織を殺したのは幹也だと思ってます。
幹也の一途さが織を追い詰めてしまったように感じる。
しかし幹也との日々が織の夢みた想いだというならば、
式の体を通して幹也との日々を追体験できたんじゃないかな。
例え織の人格が消失した後だとしてもね。

今まで両儀式からあふれる殺人衝動を抑えてたのが式なのだとしたら、
なぜ里緒のときは衝動を抑えられなかったのでしょうか?
里緒の件で初めて式本人の殺人衝動があふれてしまったように感じました。
両儀式の衝動をおさえる術は知っていても自身の衝動をおさえる術は知りえなかったのかも。

空っぽな世界が満たされた瞬間。
式と幹也のとても愛おしい物語でした。

【A82点】

投稿 : 2012/03/26
閲覧 : 257
サンキュー:

5

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