クドゥナルドシウバ さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:今観てる
人類の歴史を見せられているよう。痛烈な社会風刺なのかな
現在放送中のFinal seasonを視聴中ですが11話放送時点で感じたことをまとめます。
最終シーズンはマーレ編となっており、壁外の人類でマーレの戦士候補生である、ガビやファルコ、そして戦士であるライナーを中心に描かれています。
エルディアにも、パラディ島のマーレにもそれぞれの大義と正義と異なる価値観が存在します。その価値観はいわゆる民族浄化(エスニッククレンジング)に繋がっていくわけです。歴史的事実に照らし合わせてみてもこれは決して昔のことではありません。中国のウイグル自治区ではウイグル人が強制収容されていますし、ミャンマーではロヒンギャと呼ばれる民族が虐げられています。私たちが暖房の効いた部屋で寝転がり、お菓子を食べながらインスタグラムを閲覧している今この時にも、マーレ人のように人種や民族の違いというだけで命を奪われ、心身を傷つけられている人々は確実に存在します。当たり前の日常に感謝し、それを奪われる人たちに目を向けるよう、この作品は視聴者に訴えかけたいのかもしれません。
なぜ仲間は、友は、家族は死ななければならなかったのか。その理由を私たち視聴者が考えると、「仕方なかった」に行きつくと思います。そうです、ライナーもベルトルトも、そしてアルミンも言っていたように仕方ないんです。ご先祖様が世界中の人々を殺したから、そのマーレ人を世界中の人が憎んでいるから、マーレ人は世界の敵だから、名誉マーレ人になっていい暮らしを家族としたいから、そのためには壁内人類を死滅させなくてはいけないから、家族や仲間が殺されたから。全部そうです。歴史の過ちや過去に起こってしまったことは変えることができないんですから。
ですが、「未来」は変えることができます。一人一人の意思と行動で。実際にエレン達は偽りの王をその座から下ろし、真の王であるヒストリアを女王に据えるという大きな統治体制の転換を成し遂げました。あの時そうしたように、今度はマーレもエルディアも敵味方関係なく、一人一人が自分の心で感じ、頭で考え、行動すれば世界は変わることができると思います。
他者の自由を力で奪った結果得る自由など自由とは言えません。
民族や人種で判断せず、誰もが平和で豊かな暮らしができる、そんな新しい世界に向けて、エレンとガビを中心に是非「進撃」してほしいです。
それこそが本当の「自由への進撃」なのではないでしょうか。