らく さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:----
こんなに怖かったっけ
放送時に夢中で見たことがありましたが、そのとき以来の視聴です。
化け猫の出来が良いのは間違いないですが、四谷怪談も良くできていますね。
物語自体も怖く悲しい物語ですが、同時に本編の裏で進行する祟りの本質の解説も怖い。
マトリョーシカのような多重の怖さを意図的に形成しているんでしょう。
物語の半ばで鶴屋南北が問うように、この物語を書いているのは自分なのか、それとも書かされているのか。
その答えは四谷怪談の最終話で明らかになります。
つまり、鶴屋南北に四谷怪談を書かせているのは観客なんですね。
また、四谷怪談に絡む様々な不幸な事故が解説されますが、それらもすべて観客が作った見えない空気感が原因だと、そう訴えるわけです。
最後に、鶴屋南北はお岩さんに、呪うのであれば自分を呪えと伝えますが、お岩さんは、南北ではなくテレビを見ている視聴者に向かって突っ込んできます。
これも、客が祟りを望むという構図を暗示したものでしょう。
最終話の解説が冗長という方もいるようですが、この物語に仕掛けられたもう一つの怖さを是非とも味わって欲しいです。
祟りや幽霊の本質を鋭く突くと共に、他人の不幸を娯楽として消費する我々にも訴えてくるものがあります。
多分に実験的な作品ですが、良く出来ていると思います。