砂粒と嵐 さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
ガバガバなストーリーと素敵な声優陣
まどマギのエッセンスを感じた。
思春期だけの特殊な能力、タイムリープして何度もやり直すこと、全ての異能力者/魔法少女の「存在をなかったことにする」ためにひとりが生贄になる/人間をやめるという代償を払って戦うこと、そのへんの共通点がある。
序盤はとにかく特殊能力で無双していく展開。日常系学園生活ほのぼの異能力ドラマという雰囲気で、あらゆるシチュエーションで異能力を振りかざすのが楽しくて仕方ないっぽい。
後半で一気に話が展開して面白くなるが、やや駆け足の印象。
タイムリープのくだりもあっさり1話ぐらいで流れちゃうし、死んだ妹はさらっと助かるし、さっき親近感が芽生え始めたばかりの熊耳はあっという間に痛々しく死んでしまうし、最終話だってきっと、「隻眼の死神と呼ばれる少年が世界中を回って能力を奪っていく」というストーリーで一本漫画を連載していくことだってできるぐらいの内容だ。
ただ、あの最終話、世界各地での能力者のあり方とか世界とかそれを受け入れる側の人間の倫理とかだいぶ違うだろうに、それを画一的な価値観の押し付けに感じて、モヤモヤする。最後の少女の能力が「勇気」だ、みたいなくだりも正直よくわからない。ああいう感じのオチで本当に良かったのか、、、?
手軽に感動できるシーンはちょくちょくある。妹とか熊耳とか美砂とか、人の死が絡んでくるとどうしたって泣いちゃう、感情を刺激してくるのがとてもうまいので。
友利がめっちゃ可愛い。あやねるの声はいつもうるさくて苦手なんだけど、あの音域とテンションと抜け具合であればめっちゃ好きだ!
内田真礼の声も見事だし、麻倉ももちゃん演じる妹も可愛い。
しがし若干、主人公が癪に障る。
廃人になって自暴自棄な姿にもイライラしたが、あそこで謎に1話のヒロインが再登場するのも意味不明だし、友利を上げるために噛ませで出されただけに感じられる。「ラノベ主人公」って感じのムーブをちょくちょく醸してくるのも本当にうざいけど、声が内山昂輝だからギリギリ我慢できた。
廃人から抜け出したきっかけが、「友利の作った・妹の得意料理の・お袋の味の・オムライス」だったのもモヤつく。
とはいえ最終話で記憶をなくしてしまった状態の声色が、別人のように穏やかで、泣きそうになった。内山昂輝がすごいだけなんですけどね、
タイムリープのあたりや世界観の設定はガバガバだけど、その大味な感じがまた良さかもしれない。エンタメだし。
シャーロット彗星の仕業?ってのも「はえ〜」という程度に納得するしかなかったが、キラキラ感と奇跡感が現れているので、そういういっこいっこのニュアンスを感じ取っていくような見方で全編楽しむべきなのではないか。
あと、やたらものを食ってるアニメだな、という印象を受けた。そういう監督なんですか?
しかし作中の音楽がめっちゃエンジェルビーツだったので笑った。
オープニングはめちゃくちゃにいいし、劇版もずっと綺麗。アイキャッチの音がオープニングのアレンジになってるのもポイント高い。
それにしても沢城みゆきのキャラはもっと活かせたのでは?
ただ「ライブデート」が描きたかったから使われただけにも見えるし、中途半端に中間で尺を割いた割には物語の核心にもさほど関係がなかったのが残念。