Mitch さんの感想・評価
2.5
物語 : 1.5
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 1.0
状態:観終わった
笑ってはいけないひぐらし キャラ壊れる
本作は1〜13話にかけては旧作『ひぐらしのなく頃に』(無印),『ひぐらしのなく頃に解』(解)のリメイクとして、その後18話からは明確に続編として描かれています。
旧作未視聴の場合、リメイク部分だけでは展開を追いづらい...だけでなくしれっとネタバレも喰らう事になり非常に勿体ないと思います。無印(全26話),解(全24話)は前知識なしで観てこそ面白い作品ですし、解ですっきり完結したと思ったなら続編は観なくても良いでしょう。
物語あらすじ(猫騙し編)
{netabare}梨花はここ雛見沢に捕らえられ100年以上もの間生死を繰り返し惨劇を目の当たりにしてきた。ある死んだ先の世界で彼女は羽入から「繰り返す者」の命を絶つ神剣鬼狩柳桜の存在を知らされる。羽入は梨花に死ぬ間際の記憶を継承できるよう最期に力を与え、梨花の涙も虚しくどこかへ消えていった。次の世界で梨花は自殺を試みようと神剣を取りに行くが、あるべき場所にはその欠片が落ちていたばかりで、その後も彼女は惨殺され続けることになる。しかしその先には梨花にとっても衝撃的な展開が待ち受けていた。”あの人”が改心し自らその計画を打ち明けてくれたのだ。これを発端として矢継ぎ早に事件は収束していく。梨花にはその光景が異様に見えたのか、「誰かが勝手に賽子を振っているようだ」と勘繰っていた。そんな中梨花は部活メンバーで沙都子の誕生日を祝う事になる。プレゼントとして箱を渡す梨花に素早く反応し、沙都子は思わず身を守ってしまう。箱には以前パンチが飛び出す仕掛けがあったのだが、今はただぬいぐるみが仕舞われているだけのようである。沙都子はその”予見”を追及されると突如梨花に銃口を向け不敵に笑った。{/netabare}
物語あらすじ(郷壊し編)
{netabare}祭囃し編後の世界。魅音は部を離れ興宮にある学校へ進学している。入江によれば沙都子の雛見沢症候群は完治し、村全体にも完治の傾向が見られるようだ。時は流れ梨花や沙都子は中学生に進級した。梨花は沙都子を書店に付き合わせ参考書コーナーの前に着くと、一緒に聖ルチーア学園を受験しようとやや強引に誘う。沙都子は彼女の熱意に押されこれを承諾する。倉庫部屋の寒さの中、二人は夜遅くまで蛍雪の功で勉強に取り組んだ。勉強嫌いであった沙都子だが、その努力の甲斐あって無事梨花とともに合格する。入学式を終え早くも二人に待望の学園生活が訪れた。しかし梨花が順調に環境へ溶け込んでいく一方で、沙都子は学園の厳格な校風やお上品な周囲の生徒に全く馴染めずにいた。勉強にもついていけなくなり先生からは自主退学を促されてしまう。自分とは疎遠になり、今や取り巻きを連れ歩く人気者の梨花。サロンで友達と談笑する彼女を目に沙都子は心を呪っていく。そんなある日魅音の誘いから部活メンバーは再び雛見沢に集うことになる。久々の部活動に盛り上がり日も暮れた頃、皆がエンジェルモートへ行こうと魅音の車に乗り込む中、沙都子は1人で雛見沢を散歩したいと告げ車を見送った。かつての自分の居場所を物憂げに巡りながら、その足の流れから沙都子は祭具殿に至る。すると妙なことに中から不思議な鈴の音が響いてくるようだ。導かれるように祭具殿へ入り、オヤシロ様の像から落ちた何かに触れた瞬間、沙都子は見知らぬ場所へ行き着いてしまう。当惑する彼女の前にいたものは巫女姿の見知らぬ女性であった。この女性は沙都子の魂の悲鳴が聴こえると語り、自分の力を貸し与えその願いを叶えてみせようと豪語した。沙都子はこれに反発しできるものならやってみろと突き返す。するとこの女性は「死をもって繰り返す者となり時の渦を巡れ」と伝え、パニックを起こし逃げ出そうとする沙都子を謎の光が包み込んでいった...。彼女が再び目を覚ますとそこは5年前の雛見沢、大雪に潰れたはずのあの家であった。窓に映った自分の幼い身体を見て、とても長い悪夢だったとこれまでを振り返る。しかし時が経つにつれ世界が繰り返したことに気づき始める沙都子。中学生になり梨花にルチーア進学への夢を打ち明けられ今度はこれを拒絶する。しかし彼女の「絶対に助ける」との説得を信じてしまい、結果”悪夢”が現実となって期待を裏切られてしまう。沙都子は梨花との心中を決め、あの女性の話したように繰り返す者として世界を巡り始める。幾つかのその先々の変わりようのない運命に、沙都子は早くも徒労感を覚えていた。これを愉快とみた巫女姿の女性は梨花もまた100年もの年月を経て理想の世界を手にしたと語る。梨花の決意の固さを知り、沙都子はこの女性に梨花の100年間を追体験させてほしいと願い出る。これを快諾され100年にも及ぶ数多の世界を辿った沙都子は、その果てに梨花を雛見沢に留める方法を考えつく。それは梨花と共に惨劇を廻り続け、雛見沢を離れようとする彼女の決意を挫いてしまうというものだった。{/netabare}
物語について
業は簡単に説明すれば「進学を巡っての不和」が織りなす惨劇を二人がどう打開するのかというお話なんですが...その構図があまりに浅い。グロも多分に含んだ”人殺し”が一つの主張である作品としては内容が軽過ぎて拍子抜けしました。
{netabare}そんなことの為に神剣や謎の新キャラを登場させて都合を合わせたり、沙都子に100年間も惨劇を追体験させたりしたのもショックです。一切の躊躇もなく自殺して指パッチンまで魅せる沙都子。梨花の囚われた生き地獄を一通り把握した上で1mmも心を譲らない沙都子。作者はキャラを気の赴くままに滅茶苦茶にできて楽しいでしょうね。このまま彼女が神剣で斬り殺されて終わったらあまりに悔しくて血涙が出る。{/netabare}
そういった進展性のないストーリーは延々引っ張る一方で、圭一やレナ,魅音,詩音,悟史,入江など他の人物は背景に、空気にするのにも違和感がありました。少なくとも続編としては不完全だと思います。
{netabare}雛見沢症候群に関しても、あの脈絡の無さでは完治ではなく放棄でしょう。あれほど脅威だった存在がH173の小仕掛けに過ぎない捨て置かれた設定になっていて残念です。{/netabare}
作画について
シリーズとは大きく変わってまたクセの強い絵になったと思います。解を観てからだとやや見劣りするかもしれません。また無印で評価されたサイコホラー要素は控えめでギャグやスプラッター志向に転じています。大まかにいって日常とシリアスな笑いと血飛沫でできたアニメです。沙都子や梨花の髪色からポプテピピックやキルミーベイベーといったダーク・コメディ作品を連想されている方もいてなるほどなと思いました。
声優について
梨花ちゃんや圭一,富竹の声は解までとは少し変わっていますが慣れれば全く分からないレベルだと思います。年齢を思わせない演技力の高さには驚かされました...。またキャラの歳に声を合わせてくれた場面も面白かったです。
OP,EDについて
音楽は亜咲花さんの歌声もあって良い感じです。歌詞も妙に気味が悪くて業らしさが出ていると思います。ただOP,EDのどちらもカメラワークで動きを付けただけの手抜き感が否めません...。旧作の次回予告も惜しいところ。無印の「why, or why not」から入る次回予告は圧巻でした。賛否はあれど解の黒梨花コーナーもなんだかんだ愛されていたと思います。そう考えると業のEDは呆気なさが際立って寂しく見えますね。
ともあれ!『ひぐらしのなく頃に』という名作に時代を超えて再び光が差したことは素直に嬉しいです。これを機にもっと(名前だけではなく)ひぐらしが認知されるといいなと思いました。
終