Jun さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
人間の欲望と贖罪
群像達の欲望がしっかり描かれるので、下品であったり、グロかったりもする。対極に美化して描かれるのが北海道と樺太の自然とそこに生きる少数民族達(含アイヌ)。それぞれの民族語を話してくれるのである程度リアリティがある。
幕末から太平洋戦争終戦までは、当事者にとっては大変だったろうが、後世の僕たちには話の種に尽きない魅力的な時代に映る。
連載物が原作なので、今回もどうしても寄り道が多くなって、金塊の謎にはなかなか辿り着こうとしない。そこは、幕末、函館戦争、日清、日露戦争など脇道がたくさん用意されていて、話は尽きない。ウラジオの写真館のエピソードは盛り過ぎのように思うが。
アリシバを(極東連邦の)ジャンヌダルクにするつもりなのかという、杉本の問いには未だ誰も答えられない。ただ杉本のアシリパへのこだわりがこれまで理解できなかったが、今回少しわかった気がする。
自分はもう戻れないので、アリシバをアイヌの田舎生活に戻すことで帳尻を合わせようとしているだけだ。自分は救えないが、人を救って埋め合わせをしようとしている。
この先、金塊もアリシバもどうなるかは作者のみが知ることだか、多分アリシバは埋め合わせのために救ってほしいとは思っていないだろう。和人の田舎もアイヌの田舎もこれから二世代以内に変質し、滅び、最後はテーマパークの中にしか見られなくなるのだから。