ウェスタンガール さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
旅を旅する
イレイナは魔女である。
氏も育ちも典型的な魔女である。
生来魔女は、並外れた直観と経験によって、人の奥底に潜む闇との交渉を得意とし、多くはヒーラーを生業としてきたそうだ。
しかしそこには、依頼者の人間関係などが複雑に絡みあっていたはずであり、その原因と結果によっては、一時の賞賛にも比して、畏怖や恨みの対象となることが多かったであろう。
時にそれは悲劇を生む。
対応が不可能な災厄の際には、誤解され、疎まれ、その全てを転嫁され、狩られ、拷問され、火あぶりにされた歴史を持つのである。
遺伝学的な見地を膨らませた妄想をするなら、魔女たちには、彼女たちが置かれてきた環境によって引き起こされた遺伝的な特徴があっても不思議ではない。
そう、遺伝子レベルにまで染みついた、いわゆる血縁ともいうべき、世代を超えた、特徴的性格がである。
最新の分子生物学で言うところのエピジェネティクスの領域である。
そんな訳で、依頼に対しては慎重を期し、相応の対価を求める。
当然である。
そして、誤解を防ぐため、本来の上から目線で尊大な性格を、丁寧な言葉使いで隠そうとする。
イレイナも例外ではない。
作者曰く、「丁寧語のクズ」だそうだ。
酷い言われようである。
また、魔女狩りの記憶は、本能的に群れることを嫌う性格につながる。
いわゆる、“三人称の死”に対しては冷淡だ。
もちろん、旅の作法として、第三者的目線、傍観者の立場を貫くことは肝要であり、母親の助言を待つまでもなく、血に染み付いたものであろう。
なにより孤独を好み、寄る辺となるのは“ニケの冒険譚”のみである。
ただし、それではお話にならないので、契約、あるいは恩を受けた場合、または好奇心と打算が勝る時、ドラマが生まれ、彼女は自重することの大切さや得難い経験を得ることとなる。
旅の醍醐味を味わう訳だ。
それにしても、ニケの旅を旅したことで成長する彼女を、最終話、あのような形で、{netabare}属性のオンパレードで{/netabare}見ることになるとは。
今期、Reゼロを同時に観ていたこともあって、とても面白く感じたのである。
蛇足ではあるが、“リトルウィッチアカデミア”のアッコと比べるのも一興だ。