STONE さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
アニメで漫才をする難しさ
女子日常系であるが、結構ドラマ性が強く、お笑い芸人のお仕事ものといった側面も。
もっとも主軸となるとこなつとR凸が事務所に所属していないこともあるのか、業界の
内幕描写は希薄で、あまりプロっぽい感じはしなかった。
夢を追う少女達の物語という点ではそう悪いものではなく、前へ進もうとするとこなつとR凸、
その二組に先行する形で順調に売れていくJKクール、二組の後輩的立ち位置で最も芸が
つたないつんどら(マネー&カネー)と、主に描かれる4組の漫才コンビの位置関係も悪くない。
ただメインモチーフであるお笑いのネタの部分があまり面白くない。
以前、音楽もののレビューで、「作品世界では上手いということになっている歌や演奏に
対して、それに見合っていない音が付くと作品そのものに説得力がなくなる」みたいなことを
書いたが、本作のお笑い芸もまんま同じことが言えそう。
とこなつ、R凸、つんどら(マネー&カネー)は作中でもまだまだ未熟ということで
面白くないことにある程度の説得力があるが、天才肌のJKクールや実在する先輩芸人もあまり
お面白くないから困ってしまう。
未熟と書いたとこなつ、R凸にしても、ポジションチェンジや小さな開眼など進歩を見せる
部分があるが、ビフォーアフターであまり面白さが変わらないのは痛い。
個人的にはこれはネタや演者(キャスト)の問題ではなく、「媒体の違いが大きいのかな?」と
思っています。
本作の放映(2020年10月〜12月)の少し前に漫才やコントを描いたショート作品や、人気芸人が
ネタ作りやディレクションをして、それをアニメで表現するバラエティがあったが、試みは
ともかく「笑えるものであったか?」と言うと微妙な内容で、改めて「内容や喋りだけでなく、
生身の体(表情、動作など)が伴って、笑えるものになるのかな?」と思ってしまった。
逆もまた然りで、漫画やアニメが原作のギャグコメディものを実写化してもドラマとしては
ともかく、ネタそれ自体はあまり笑えるものになっていないことが多いように思える。
本作に関して、芸の部分はそれ自体で視聴者を笑わせようとするものにはせず、お笑い芸人を
描くための舞台装置と割り切った扱いの方が良かったかも。
主な舞台が大宮だが、せっかく大宮を舞台にしたのだから、「大宮ラクーンよしもと劇場」、
並びにそこをメインに出演する芸人さんを主要キャラともっと絡めても良かったのでは?。
美水 かがみ氏によるキャラクターは結構良かった。
2020/01/25
2023//06/04 加筆・修正