「な」 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
斬新なオムニバス
泣ける!とか神作画!とかは腐るほど言われてきただろうから、他の点について言ってみる。
この話は所謂オムニバス形式である。ただ、従来のオムニバスとは明らかに異なる点がある。それはヴァイオレットの成長という太い一本のレールの上で展開されているということである。
各話に出てくる依頼主は勿論、ヴァイオレットの心情にもスポットを当て、その二面から物語を描いている。これがグチャグチャにならず、きっちりまとまっているんだから凄い。
ただこの話には欠点もある。それはオムニバスとして繰り返すほどの深みが無いという点である。短編を繰り返すことの利点は、話のテーマを徐々に浮き彫りにさせられるということである。この話にも一応「言葉」「思い」のようなテーマは存在する。ただ、これらは使い古されたテーマでもあるし、12話かけるにはあまりに単純すぎる。
とはいえ、この話の最大の魅力はヴァイオレットの成長である。徐々に感情を得ていき、9話で自分を縛る過去から解放される。そして10話では依頼主を思い涙するのが印象的である。ここまでは完璧である。
しかし、それ以降では突然戦闘シーンが出てくる。これだけ綺麗な話を見てきた後にいきなり戦闘ではどうしても違和感を覚えてしまう。9話で解放されたにも関わらず再び過去が引き金となり争いに巻き込まれてしまう。これがヴァイオレットの宿命なのか、悲惨だ。違和感のある展開をしたにも関わらず、かなりらあっさりした結末だった。9話以前の展開に戻ってしまったようであまり必要性を感じなかった。