STONE さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
無能じゃない無能者
原作は未読。
タイトルの「無能」だが、特殊能力を持たないという意味の無能みたいだが、一般に「無能」と
言うと、「仕事ができない」とか、「使えないやつ」的な意で使われることが多く、最初は
そっちかと思っていた。
むしろ主人公の柊 ナナはそういう点では有能な存在。
初回が予想外の展開で掴みはいい。
最初に殺された中島 ナナオだが、その名前と言い、能力と言い、下野 紘氏という
キャスティングと言い、主役はこちらと思わせるようなミスリード感満載のキャラだった。
1話の序盤でミスリードを誘い、その1話の終盤で意外性を感じさせる手法は「喰霊-零-」、
「がっこうぐらし!」辺りに近いものを感じるが、この手の演出は初回で掴みやすい反面、以後は
それ以上のインパクトが得られずに尻すぼみになる可能性もあるが、本作は以後もナナと能力者の
頭脳戦中心に話を進み、最後まで楽しませてくれたと思う。
基本的には能力者ばかり集められた島で異能力を持たない少女であるナナが能力者を
暗殺していく話で、相手の能力が他作品だとラスボス、幹部級のチートなものが多々。
暗殺とはいえ、この図式はモビルスーツ的リアル系ロボットでチート能力を持つ
スーパーロボットを知略で倒していく、「アルドノア・ゼロ」を思い出した。
正直、細かいプロットは強引な展開を感じたりする部分もあったが、設定やキャラの魅力で
なかなか飽きさせない。
サスペンス要素、バトル要素とは別にキャラクタードラマとして大きな存在だったのが
犬飼 ミチル。
途中までは単なるマスコットキャラ的な印象だったが、能力者を人類の敵と捉えてきたナナに
とって徹底した善性で接してくるミチルという存在は、ナナの心に大きな変化を及ぼした模様。
終盤はサスペンス要素よりヒューマンドラマの方を重視したような作りで、島全体の行方、
直近の事件である鶴見川 レンタロウの殺人、登場を予期させる鶴岡 タツミなどは放りっぱなしで
終わってしまったが、ナナとミチルという二人の少女の物語としては妥当な締めかなと。
鶴岡役に藤原 啓治氏が出てきたのはびっくり。藤原氏が亡くなられたのは
2020年4月12日だったから、だいぶ前に収録は終わっていたみたい。
少しとはいえ、また声が聴けて嬉しかった。
2021/01/20
2023/02/26 加筆・修正