ゲリオ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
そっ閉じ系ゲスの極み乙女…そう、私です!
話題作揃いの2020年秋アニメにおけるダークホース的アニメ。
1話の時点では全然期待してなかったはずが気づけば作品の虜になっていた。
作風は主人公のイレイナが旅を通じて様々な街を訪れ、1話(あるいは0.5話〜2話)の中で短編的シナリオを展開するオムニバス形式。
同じライトノベル作品の"キノの旅"を模範にしてることは間違いないだろう。
シナリオは明るい話から暗い話まで様々だったが、やはりビターエンドを迎えた第3話が最も印象深い。
{netabare} Aパートの花畑と兄妹のお話、Bパートの奴隷少女のお話ともに登場人物が破滅的最後を迎えてしまう後味の悪さ。
主人公のイレイナは「その後どうなったか知りません。知りたくもありません。」というモノローグとともに去っていく…
{/netabare} 助けられないものは助けないと傍観者に徹したイレイナは冷酷な主人公に映った。
一方でこのような鬱回を序盤に組み入れたのは、ハッピーエンドだけの普通のアニメではないことを視聴者に知らしめた点でメリットだったと思われ。
個人的にも3話で一気に本作が注目作にのし上がり視聴優先度も高めとなった。
ナルシストな冷徹魔女のイメージを視聴者に抱かせてしまったイレイナに関しては、ある意味でネタ的には美味しかったし新鮮味のある主人公になったことで個人的には逆に良かったと思う。
第4話もバッドエンド。またしても見て見ぬ振りをして立ち去るイレイナさん…w
完全に"そっ閉じ系ヒロイン"になってて面白かったが、そうは言ってもやはり嫌悪感を抱く視聴者も少なからずいたようだ。
全ての受け手が同じように感じるわけがないのだから、それは仕方がないこと。
他アニメで自分が嫌いなキャラが大人気キャラだったりするのと同様、俺はこの"ゲスの極み乙女"のイレイナさんがとても気に入った。
{netabare} イレイナをフォローするわけじゃないけど、第9話も同様に鬱回だったが、この回ではキャラに深く関わってしまったことで悲惨な結末に彼女自身傷ついてしまい、涙するシーンもあった。
ただの冷徹魔女じゃないことが判明するも、自分としては最後まで"そっ閉じ系"を貫いてほしかったのでやや残念だったかも。{/netabare}
暗いエピソードのことばかり書いてしまったが、半分以上はどちらかと言えば明るいエピで、ギャグもなかなか冴え渡っていたと思う。
ワインの街のお話なんかは、どうでもいい話だったけどコメディ満載かつ、イレイナが最も可愛く描写された回だった。重い回と軽い回の振り幅が大きく、色々楽しめるのが本作の強みで全体的に0.5話で終わる短編回が好きだったかもしれない。
戦闘シーンのアクションは、作画もテンポも文句なしに素晴らしかった。
監督とアニメーション制作は"はるかなレシーブ"と同じ元請とのことだが、あのテンポの悪い凡アニメを作った制作陣と同一とは思えず、C2Cさんの次回作が楽しみになった。
総評すると、シナリオ&作画総じて高水準にまとまった良作だったのは間違いない。
ただ、「今一歩欲しかった」という思いがあるのも事実。
もう少しで良作を超えた名作になり得た気がするのだ。{netabare}
例えば最終回のシナリオに関して、旅の中でどのような選択をしたかにより幾パターンもの自分の可能性があるという本筋は興味深かったが、結局夢オチに終着してしまうのは物足りなく、感動面もラストを飾る話としてはイマイチだった気がした。{/netabare}
まぁ、その辺は贅沢を言えばの話で平均点なら秋アニメ随一の作品だったと思う。
最後の最後で新キャラが登場し、2期への含みがあったので、とりあえず気長に待ちたいところだ。