TimuTimu さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
無能力がチート級能力に勝つ方法
【あらすじ】
「人類の敵と称される未知の怪物を倒すべく、孤島に集められた能力者たちが通う学校に2名の転入生が現れる。
そのうちの1名で主人公でもある柊ナナはその日「能力者の能力をすべて無効化する」というチート級能力である学生を崖から突き落とす。
実は能力者達こそが"人類の敵"であり、ナナは能力者達を秘密裏に始末させるために"委員会"から送られた刺客だったのだ。」
僕は丁度ミステリー作品に凝っていたこと、また脚本がるーすぼーいだったことから視聴を始めました。
1、2話は流し見をしていたのでよくある能力学園バトルかと思いきや、3話目からアサシンクリード・MGSのような緻密な暗殺計画にミステリー要素を絡めた、不思議で意味深な作品に心を打たれました。
【良い点】
◆無能力者がチート級能力者に「戦略」で勝利する
この作品は”一人の無能力者”が”大勢の能力者”全員を殺生する構図から物語が始まります。
某作品では「最弱だと思われた能力が実は最強だった」という設定ではなく、本当に何も能力を持たない者が軸となり物語を恐怖のどん底へ搔き乱していきます。
ありそうなのに実は中々無い設定、この時点で面白いです。
◆「るーすぼーい」という安定感のあるシナリオライター
「るーすぼーい」はギャルゲー黄金期に最前線で活躍していたシナリオライターです。代表作として、「車輪の国シリーズ」、「G線上の魔王」等が挙げられます。
この方はミステリーや内容が多少お粗末な展開だったとしても、視聴者が感動する場面や心が動く瞬間、ツボを心得ています。
本作品でもそういった場面を視聴することができましたので物語の評価は高くしております。
◆「小野寺キョウヤ」という存在
転入生として柊ナナがいましたが、同日に小野寺キョウヤという生徒も転入しました。能力は不老不死。
柊ナナが野望を成し遂げるために転入していきなりラスボス参戦といったところです。
果たしてどのようにして倒すのか。様々な考察が頭の中を飛び交い、今後の展開に妄想が膨らみます。
また、クールキャラ×中村悠一という組み合わせはご褒美という言葉で片づけられる代物ではありませんでした。少し大人しく落ち着きのある低めのトーン。そこに中村氏特有の大人の甘い声質が加わり早く小野寺キョウヤの会話シーンが来ないかウキウキしながら視聴していました。
◆柊ナナに芽生える友情とその葛藤
ネタバレになるので本編を最後まで見てください。
【悪い点】
◆ガバガバ理論とご都合主義が多い
結構多いです。時々ミステリーではなくこじつけではないかと疑う場面もありました。
◆犬飼ミチルという存在
この物語の重要人物である犬飼ミチルですが、僕の好みに全く合いませんでした。
人の名前をさん付けするとき「~さん」ではなく「~しゃん」。
ポケモンのメリープを乗っけたような髪型。
そして何より嫌なのが意味深能力である「ペロペロヒーリング」。
なぜ舐める。
ペロペロする。
嘘をついているかどうか味を確かめているのか?
僕には唯一このキャラだけは理解不能だった。
という事で調べたところ、どうやら動物が傷を舐める目的として以下の点があるようです。
①傷を治したいという本能
②唾液に少量の殺菌作用が含まれている
また、余談ではあるが、ミチルは共感性の極めて高いキャラであるが、これは「傷の舐めあい」ということわざにも込められた意味だと解釈しました。
このことから、改めて見るとキャラ設定として合理性があり、能力の発動条件も腑に落ちました。
最後は犬飼ミチルの悪口と考察で尺を使いましたが、ミステリー×葛藤×感動を味わいたい方は是非視聴してみてください。