Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
私たちは諦めない! 約束を果たすその日まで…
ようやく…です。
思い返すと、ちょうど国内でコロナウィルスへの罹患者が3桁となった頃が、この作品の公開日だったんですよね。
その後、緊急事態宣言も発出され映画館にも行きにくくなったのでレンタルが開始されるのを待ちわびていました。
いつか必ず何としてでもアニメーション作品を一緒に作ろうと、
ひょうたん屋のドーナツで誓いを立てた上山高校アニメーション同好会の5人。
卒業後それぞれがそれぞれの場所でアニメーション制作に携わっていく。
宮森あおいは「えくそだすっ!」「第三飛行少女隊」の制作を経て、
少しずつ夢へ近づきつつ、徐々に自分の本当にやりたいことを考え始めていた。
あれから、4年。
日々の仕事に葛藤しながら過ごしていたあおいは朝礼後、
渡辺に呼ばれ新企画の劇場用アニメーションを任されることになる。
しかし、この企画には思わぬ落とし穴があった。
今の会社の状況で劇場用アニメーションを進行できるのか?
不安がよぎるあおい・・・
新たな仲間・宮井 楓やムサニメンバーと協力し、完成に向けて動き出す。
果たして、劇場版の納品は間に合うのか――!?
公式HPのSTORYを引用させて頂きました。
変わり果てたムサニの状況に愕然とすることろから物語は始まります。
「えくそだすっ!」や「第三飛行少女隊」を経て、ムサニはもっと活気づいていると思っていました。
宮森だって、軽自動車でドリフトしつつ、社内外を駆け回っていると勝手に想像していたので…
ムサニのみんなで「わいわいがやがや」しながらモノづくりを進めている感じが凄く好きだったんですよね。
時折社長の作るカレーライスが良いスパイスになっていたり…
蓋を開けてみたら全然違っていましたけれど…
でも、逆に閑散とした状況にリアリティを感じたのも事実です。
仕事が無ければ人を雇えないし、人が居なかったら会社としての機能だって喪失するのは止むを得ません。
私は転職をしたことがないので考えたことはありませんが、会社が傾いた際に社員には「残る」と「立ち去る」という2つの選択肢が与えられます。
どちらも勇気のいる選択だと思います。
だって、どちらも会社にとって一長一短がありますから。
描かれていませんでしたが、「立ち去る」という選択をした人たちは、きっと後ろ髪の引かれる思いだったと思います。
ムサニに愛着もあったでしょうし、仲間意識だってあったと思います。
何より、モノづくりに全力全開で取り組み、形を残した唯一無二の場所なんですから…
だから再び縁があった際、お互い求めあえる関係で本当に良かったと思います。
この劇場版では、新キャラとして宮森のパートナーである宮井楓が物語に加わってくるのですが、この新キャラを演じているのが、あやねるなんです。
声を聴いた瞬間、あやねるだと分かりましたよ。
選ばれた際のあやねるのコメントを見つけたのですが印象に残りました。
「TVアニメ放送当時、水島監督がアニメ業界を描く作品をつくっていると聞き、「そんなの絶対面白いじゃん…」と思っていたら「作品も収録もとても面白い」という話を他の現場でキャストさんやスタッフさんがされていて、激しく嫉妬に狂っていたのですが、この度ようやく参加させて頂けるということで、そのバネを生かす時が来たなと思いました。めちゃくちゃ喜びました。嬉しいです。」
あやねるでも、こういう風に思うことあるんだ…が私の率直な印象でした。
だって、あやねると言えば今や引く手あまたの声優さんなんですよ。
それが嫉妬に狂ったり、役が決まって大喜びしたり…
逆に、これが声優業界の厳しさなのかもしれませんね。
めちゃくちゃ面白く、2時間があっという間でしたよ。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
主題歌は、fhánaさんの「星をあつめて」
towanaさんの高音の伸びが抜群に気持ちの良い楽曲です。
劇場版の2時間という枠の中に、やりたいことを全て詰め込んだ作品だったと思います。
自分の仕事に妥協せず高みを目指し続ける姿勢は、同じモノつくりの人間として見ていて胸が熱くなりました。
やっぱりどうせなら全力全開で楽しみを見い出しながら仕事したいですよね。
明日からの活力を貰える作品で、心底視聴できて良かったと思いました。