二足歩行したくない さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
スッキリとはしきれないところがありますが、意外な結末が待っていてラストは驚きがあります
今敏の初監督作品であり、氏の出世作。
原作小説がありますが大幅に今敏アレンジされているようです。
元アイドルの「霧越未麻」は事務所の意向もあり、女優への転身を謀るが、与えられたドラマのセリフは一言だけで、焦った事務所は脚本家に頼み込み、結果、未麻はレイプシーンを演じることになってしまう。
続けてヘアヌードグラビア撮影の仕事が入り、過去のファンからも白い目で見られ始める。
一方で、役者としての仕事は軌道に乗り始めるが、アイドルだった自分が未麻の前に幻影としてチラつき始める。
さらにインターネット上には自分の生活が細部にわたり記録されている自分の日記サイトが公開されていて、書かれている内容がアイドルだった自分の想いと重なり混乱する。
そして、未麻の仕事で関わった人物が殺され始める。
現実とドラマの自分が混ざり合い、自分がどこにあるのか、悪夢のようなシーンが繰り返され、気が狂ってしまったのか、自分は役者だと思い込んでいるレイプされたストリッパーなのか、自分が殺したのか、何が本当なのか。
途中までは一本道で分かりやすく、アイドルを続けていたらということを思い感情が揺れる様を描いた作品と思って見ていたのですが、どんどん内容がサスペンスホラーになっていき、やがて今見ている場面がどのシーンなのか分からなくなっていきます。
ショッキングなシーンの後、フトンで目覚めるシーンが多々あり、夢か妄想か記憶が飛んでいるのか、視聴していて分からないです。
油断して見ていましたが、ちゃんと今敏らしいからくりのある内容でした。
ただ、きちんとオチがつけられていて、結局よくわからないまま終わるようなものでは無いのは良かったと思いました。
スッキリとはしきれないところがありますが、意外な結末が待っていてラストは驚きがあります。
セルアニメの時代の作品ですが、今見ても作画など違和感なく楽しめました。
作品自体が15Rなだけあり、エロとショッキングなシーンがあるので、少し注意が必要かなと思います。
今敏作品では比較的まとまっていて、クセはもちろんありますが、今敏作品の入口としておすすめします。