GCR さんの感想・評価
3.9
物語 : 2.0
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
TVシリーズの延長上の映画
まず、ファンの視点から感想を書くと、TV版を見たファンがけいおんの映画に求めるであろう要素を
これでもかと詰め込んだ、理想のけいおん映画になっていたと思う。
放課後ティータイムの5人を、可愛くフェティッシュに丁寧且つ執拗に描ききった
「お前らが見たかったのはこれだろ?」という山田尚子監督のアニオタへの最高のアンサー。
正に極上の萌えアニメに仕上がっている。
又、京都アニメーションの技術が結集した、日本最高レベルの細やかな動画や、空気感さえ感じられる美麗な背景も特筆に値する。
しかしファンの視点を離れて、純粋に映画としての評価をするとなると
かなり厳しいと言わざるを得ない。
{netabare}
山場もオチもハラハラするような展開どころか、起承転結さえ存在しない、ストーリーと呼ぶのもおこがましい稚拙なシナリオ。
やってることは、女子校生が卒業旅行にロンドンへ行ってはしゃいで、ちょろっとライブやっただけ。
けいおんを全く知らない人が見たら、他人の雑な旅行ホームビデオを、2時間延々と見せられている感じがするのではないだろうか。
ラストも「え?これで終わり?」と思わず言ってしまうような、あっさりとした物で
映画を見終わった後特有の、後を引く余韻が全く感じられなかったのも、かなりのマイナスポイント。
30分のTVアニメなら、ストーリーの存在しない萌え特化アニメも成立するが
2時間の長編映画ならば、やはり核となるストーリーが必要であったと思う。
あくまでファン向けに、背伸びをせずTV版の延長線上の、無難な萌えアニメに仕立てたのは正解だとは思うが
反面、鑑賞後のカタルシスが全く感じられない、長編映画として根本的な欠陥を抱えている
万人には決して薦められない、現在の萌えアニメを象徴するような、歪な映画になってしまった感がある。
もう少し、万人向けの娯楽映画としての完成度も追求して欲しかった。
{/netabare}