まつはや さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
アニメ的なはったりが効いている
【6話まで視聴時点】
3話あたりまではつまらなくはないが王道故に目新しさに欠ける、という感覚で視聴していましたが、4話から登場したキャラクターが強烈で評価を上げました。子安武人さんの怪演はID-0や往年のロボットアニメを彷彿とさせますね。
スケボー好きの主人公とスケボー未経験者の転校生のバディが、ルール無用のスケボーレースに挑むオリジナル作品。
本作はキモであるレース場面がとにかく楽しい。
よく動く作画と格好良い劇伴で、スケボーに詳しくなくとも「なんとなくすごいことをしているんだな」という雰囲気に飲まれることが出来ます。
昨今様々なスポーツや趣味がアニメの題材に用いられていますが、「競技としてはマイナー気味だけれど動くと映える」スケボーというチョイスはかなり良い線行ってるのではないでしょうか。
アニメ的な嘘をふんだんに取り入れつつ実際に使用されるテクニックも織りまぜており、超次元になりすぎないのがいいですね。
最初ヒールとして登場したキャラクターも因縁を引きずらずにすぐ仲間になったり、ラスボス(候補)も嫌なやつというよりは面白い奴、やばい奴といったキャラ付けで、キャラクターに関してヘイトやストレスを貯めさせないような作りもうまいと思います。
【ネタバレあり総評】
最後まで満足度の高い作品でした。12話通してスケートシーンの画作りが大きくだれることはなく、キャラクターを売りにした所謂キャラアニメであると共に、最後までスケートアニメとしての体裁も保っていたことが好印象です。
レースシーンは作画が言及されがちですが、実際にやると地味になりそうな行為(坂を逆走など)の盛り上がりは演出や劇伴による部分も大きかったのではと思います。絵作りの面で言うと、レースシーンだけでなく日常シーンでもデフォルメやいかにもアニメアニメした演出がふんだんに用いられており、全体的にどこか懐かしい雰囲気の作品でした。
序盤に比べ後半はシナリオの比重がスケボーからそれを取り巻く人間関係にシフトした感覚はありましたが、大人たちの人間関係や暦の内面に迫ったエピソードも、振り返ってみればレースに緊張感をもたらす要素として必要不可欠だったのではないでしょうか。11話のカタルシスは数話に渡り暦を沈ませたからこそ得られたものでしょう。
男性キャラに萌えるもよし、レースを見るもよしな良作です。
■12話感想
{netabare}
トーナメント最終戦は普段と異なる危険なコースで開催されることとなった。死神の衣装を纏った本気のアダムに対し接戦を繰り広げるランガだったが、アダムの幻惑に引き込まれ窮地に陥る。その時ランガの目に映ったのは、スケートボードに記された「FAN」の文字だった。
愛抱夢VSランガはランガの勝利で決着しましたね。愛抱夢はスケートへの情熱を思い出し菊池との仲も回復、更に逮捕も回避。皆がある程度収まるところに収まっている中一人だけ店長にフラれているシャドウさんは不憫でしたが、全体的に思っていたより後味の良い結末と相成りました。
トーナメントの結末自体は手堅い展開ではあるものの、最終回においてもなお新コース、新衣装、新劇伴と新たな要素を持ち出されたことにより最後までマンネリを感じることなく視聴を楽しむことができました。
物理的に不可能可能云々を超えて精神世界が繰り広げられていたあたりは賛否が出そうですが、アダムの如何にもなラスボス造形や普段のレースとは異なる色味など、ラストバトルをラストバトルらしく盛り上げる演出が冴えていたと感じます。
第一話アバンを左右反転させランガに語らせる〆も良かったですね。
{/netabare}
■11話感想
{netabare}
再び元気を取り戻した暦の元に愛抱夢からビーフの招待状が届く。危険なレースになるという忠告を振り切りビーフを受けた暦には、ある策があった。
前回の引きで示唆されていた愛抱夢VS暦のリベンジマッチ回でした。試合結果こそ敗北でしたが、愛抱夢の技を攻略し、ランガのような大胆なショートカットも決め、聴衆にも名前をコールされるほどに善戦した暦は、勝負には勝ったと言えるでしょう。最弱キャラが最強キャラに知恵と工夫で一矢報いる展開は王道ながらやはり爽快で、演出と劇伴も相まって個人的に一番好きな回となりました。
滑り自体をどうこうするのではなくボードのパーツを変えるという作戦は、暦がメカニックであるという部分が生かされていて納得感がありましたね。
また、ひたすら暴力を振るいあくまで勝ち負けを意識していた愛抱夢と、勝敗はもちろん「こっちの方が楽しそうだ」と競技を楽しむことを意識していた暦の差が印象的でした。一度楽しむことを忘れ泥沼にはまっていた時期があったからこそ、再び心から競技を楽しんでいる様子を見られたカタルシスが大きかったです。
最終回はこれまたリベンジマッチですね。ここまで黒星なしの愛抱夢ですが、最後くらいはランガが白星を掻っ攫って欲しいところです。
{/netabare}
■9話感想
{netabare}
ジョーVSランガはランガの勝利で幕を閉じ、準決勝第2試合、愛抱夢VSチェリーの火蓋が切られた。冷めた表情の愛抱夢をラフプレーで煽るチェリーは、愛抱夢との出会いを回想する。一方ランガはレース中にすれ違った暦を探すも、暦はSバッジを返還し鉱山跡を去ってしまう……
チェリー、ジョー、愛抱夢のじっとりした人間関係が描かれた回でした。
本作はスケボーシーンの大味さ大胆さに反して人の描き方は繊細ですね。(女性監督ならでは?)回想の内容自体は予想がつく範囲内であるものの、チェリーは愛抱夢に憧れており「特別」な扱いを快く思っていたという描写は、愛抱夢VSチェリーを盛り上げるスパイスとして最大限機能しておりました。
今回のハイライトは間違いなく愛抱夢がチェリーに放った暴力行為でしょう。
ここは絵面のインパクトに意識がいってしまいますが、チェリー、ジョー、愛抱夢の関係はもう過去のものであり、修復することは出来ないのだと明確に突きつけられた切ないシーンでもあります。
怪我を負い包帯でぐるぐる巻きになっても尚ルーキー(ランガ)より愛抱夢の方がもっと……と過去を拭いきれないチェリーに対して、試合中継の間一切目を逸らさずチェリーと愛抱夢の対決を見つめていたジョーが印象的でした。ジョーは既に愛抱夢が変わってしまったことを理解しているようですが、それでもチェリーを止めないあたり良いバランス感覚のキャラクターだなと感じます。
一方暦とランガ方面は、暦がプレイヤーでいたいとはっきり自覚したまでは良かったものの、バッジを返還してしまったので、2歩進んだのに3歩戻ったという印象です。ランガもようやくモチベーションの根源が暦であることを自覚したのに、絶妙にすれ違い即解決とはいかないところが歯痒いですね。
菊池の参戦もあり益々人間関係が混沌とする中、予告で変わらぬ様子を見せてくれたシャドウとミヤには癒されました。来週は総集編みたいです。
{/netabare}
■8話感想
{netabare}
愛抱夢主催のトーナメントが幕を開けた。ランガたちが次々と予選を突破する中、突如現れた謎の人物が圧倒的な滑りを見せる。彼の正体は愛抱夢の秘書、菊池忠であった。
一方ランガとの距離感を測りあぐねる暦は、ジョーの勧めでこっそりとクレイジーロックに向かう。
ここに来て重要人物との因縁持ちの強キャラ投入は熱いですね。今週は先週に引き続き暦とランガの関係を掘っていくのかと思いきや、どちらかと言うとトーナメントの進行と共に愛抱夢たち大人組の物語が示唆された回でした。
特に、菊池を前に大きく顔を歪める愛抱夢が印象的でした。物語当初こそ主人公らに立ち塞がる如何にもなラスボス的キャラクターだった彼でしたが、背景が明らかになればなるほど葛藤も苦悩も抱えた普通の人間に見えてきますね。ジョー曰くひとりぼっちで、親族や社会的立場にも囚われている愛抱夢が、唯一心から楽しめる場所がSなのかもしれません。
本作はレキとランガだけでなくその周囲の人間のドラマにも相当尺を割いていますが、彼らの過去と背負うものはサブタイトル的に来週明かされるのでしょうか?
そして「応援」という選択肢を意識した暦と、暦の居ないビーフに心ここに在らずなランガはお互いとの、スケボーとの向き合い方にどういった結論を出すのでしょうか。
{/netabare}
■7話感想
{netabare}
日々目覚ましい成長っぷりを見せるランガだったが、その圧倒的な実力に暦はついていけず、両者の溝が開いていく。そんな中愛抱夢はトーナメントの開催を宣言するのだった。
これまでとは打って変わりシリアスな演出が目立った回でした。スケボーで登校する様子をAパートとBパートで対比させたり、中盤以降徹底的に暦を影側ランガを光側に置いたりと、これでもかと二人の不和を描写しています。丁寧に積み上げてきた実力差の布石をここで一気に回収した形ですね。ランガは難なく到達した高架下の星マークに暦は手が届かない、という見せ方もうまかった。
「勝ちたい」「強い男だと証明したい」トーナメントに挑む他スケーターたちモチベーションが描写される中、気になったのは愛抱夢とジョーとチェリー。圧倒的ラスボス然とした愛抱夢も背景に何やら物語を抱えていることが示唆され、主人公陣営だけでなく敵側の動向にも注目ですね。
{/netabare}