二足歩行したくない さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
伝説の大女優の半生を綴った作品
若くして逝去した今敏監督作品。
原作のないオリジナルアニメで、今敏は本作で国際的な賞を受賞しました。
また、本作以降の作品で、今敏は平沢進とタッグを組み始めます。本作の主題歌、BGMは平沢進が手掛けています。
映画会社「銀映」の撮影所取り壊しを気に伝説の大女優「藤原 千代子」のドキュメンタリー作成を取り付けることができた映像制作会社社長の「立花 源也」とカメラマンの「井田 恭二」。
本作は二人による千代子へのインタビューという形式で話が進みます。
インタビュー前に立花より、とある思い出の鍵を受け取った千代子は、自分が役者になる切っ掛けから滔々と語り始めるのですが、彼女の半生を語る内に"想い出"と"映画"の中の出来事が織り混ざってくる。
想い出の中の千代子は時を超え、あるときはくノ一になってカゴを襲い、ある時は幕末の京都で遊郭と抜け出し、戦時中、爆弾が落ちる中あの人の面影を追いかけ、虜囚になり、奸計に嵌り、ロケットに乗って宇宙の果まで追いかける展開です。
すべてがすべて事実ではないのですがそれは問題ではなく、ただ、時を超えてひたすら一途に追い求める物語となっています。
物語の変化が独創的で面白かったです。
パラパラと切り替わってゆきながら、気がつけば作中のキャラクターが少しずつ年を取っていくのが見事。
2人のおじさんと前線を退いた女優がメインという渋いストーリーなのに、どんどん引き込まれて、およそ90分あっという間でした。
ただ、最後は残念な終わり方だと思います。
実は物語はとうの昔に終わっていたということを、視聴者は知ります。
結局、鍵とはなんだったのか、根本的なところで謎を残したまま終幕となり、余韻を感じることもなかったです。
必死に追いかけ続けた千代子の半生の結末として、これでいいのだろうかと、面白かったですが、テーマがぼやけている感じがあると思いました。
他のレビューを見てみるとラストは賛否があるようですね。
最後だけ"うーん"となりましたが、途中は良かった。一度観てほしい作品です。