タック二階堂 さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
異世界なろうのパイオニアが本気だす!
詳細は公式でも。
来年から本気出すとか、異世界いったら本気出すとか言ってる人は、だいたい本気出さないよね。
でも、この作品からは本気度がビンビン感じるんです。いわゆる「なろう系」というライトノベル原作のアニメなんですが、この無職転生は「小説家になろう」という小説投稿サイトで、常にトップの人気をキープしてきた、まさに“遅れてきた大物”と言われている作品なんです。原作は2012年に連載開始。2015年に完結した作品。KADOKAWAのMFブックスから全24巻が発売されています。
しかも制作は、この「無職転生」のアニメ化のために立ち上げられたアニメ制作会社のスタジオバインド。ストーリーは34歳の無職で童貞の引きこもり男が、なろう系お約束の異世界転生装置であるトラックに轢かれて死んでしまい、剣と魔法の異世界に赤ん坊として転生するところから始まる感じです。
前世での記憶と後悔を胸に、異世界に転生したルーデウスは本気出すという、壮大な大河ファンタジーなんですね。ただ、その壮大さゆえに1クールでは確実に尺が足りない。何クールやるのかわかりませんが、同じなろう系の大ヒット作「リゼロ」「オバロ」級のヒット作になる可能性を秘めているので、少なく見積もっても3クール以上は作られると思います。
で、初回。
=====初回視聴後、所感です。
{netabare}
転生前のヒキオタを心の声(モノローグ)として、杉田智和さんが担当。転生した少年・ルーデウスのCVは内山夕実さんが担当します。ひとりのキャラで2人が声を当てるというのは、前期「土下座で頼んでみた」と同じスタイル。ですが、あっちはメインが杉田智和さんで、心の声に堀江一眞さんということで、けっこう声が似ていてCVを分けた意味がわかりませんでしたが、これは言うまでもなくはっきり分かりますw いろいろな出来事に対して、杉田ボイスでツッコミを入れていくというのも面白い。
それよりも何よりも、特筆すべきは作画。キャラデザは文句のつけようがないほど素晴らしいですし、ルーデウスやロキシーの水の魔法の描写が凄まじいです。京アニやufotableに匹敵するレベル。もちろん満点。
声優もいいですねぇ。内山夕実さんもいいし、ロキシーの小原好美さんもいい。母親の金元寿子さんもいいですねぇ。そして前世の男の杉田智和さん。こちらも満点です。
ストーリーも実に丁寧。ルーデウスが赤ちゃんとして転生して、実は魔術の才能が秘められていて、それをヒキヲタのおっさんが冷静に分析しながら成長していく過程が見事に描かれています。
期待していた以上の出来で文句なし。間違いなく覇権争いに加わる作品だと思いますよ。
{/netabare}
=====第2話視聴後、追記です。
{netabare}
デブのヒキニートのソロプレイは見たくないけど、両親の情事の声にスイッチが入って、ソロプレイするロキシーの表情と小原好美さんの声は素晴らしくエロいですね。そのまんまのシーンをインフレ状態で見せる「回復術士なんちゃら」とか「俺だけ入れるなんちゃら」より、遥かにエロい。同じなろうでも格の違いを見せつける。
テンポがめっちゃ早いけど、決して拙速という感じではない。必要な描写を必要な分だけ丁寧に描いているという感じ。師匠のロキシーとお別れ。もう出ないのかな。たぶん、そんなことはないと思いますけどね。
面白さは継続しています。前世でのトラウマを解消してくれたロキシーのおかげで、ルーデウスは少しずつ、この世界で成長していく感じが実に良い。さて、これから友達ができていくのでしょう。楽しみですね。
{/netabare}
=====第3話視聴後、追記です。
{netabare}{netabare}
ここまで完璧オブ完璧にきています。
今回は、ロキシーが去り、置き土産としてお外に出られるようになったルディが、散歩中にいじめられているエルフの美少年?を助けるところから。
シルフィと名乗る美少年?と仲良くなりましたが、いじめてた子の母親が怒鳴り込んできて、ルディはパウロに殴られます。でも、そこは「見た目は子ども、頭脳は34歳童貞引きこもりの小太りヲタ」。正論ティーでパウロをやり込めてしまいますよと。
で、シルフィと遊ぶようになり、なんと魔術を教えたら才能を発揮。無詠唱魔法まで使えるようになっちゃいます。そんなシルフィと、お風呂で親睦を深めようと脱がしたら、彼は彼女でしたw
{/netabare}
というまあ、仲間増やしの地味な回なんですよね、ホントは。それでも、緻密な脚本と展開のうまさ、圧倒的な作画に豪華声優陣の演技と、観ていて本当に飽きない。小原好美さんOUTで、茅野愛衣さんINという、素晴らしいキャストの選手交代も見事。
ちょっと、この作品、今期では群を抜き始めました。すでに5馬身ぐらいリードしている印象です。
{/netabare}
=====第7話視聴後、追記です。
{netabare}
凡百の駄なろうと一線を画するのは、こういうところなんだなあということを見せつけた回でした。
10歳の誕生日パーティで披露するダンスが上手く踊れないエリス。ルディが練習に付き合って、なんとか形だけは整えたものの、本番では緊張して失敗してしまいます。
そんなエリスに助け舟を出し、見事に踊らせることに成功したルディ。そんな姿に、エリスはポッとしてしまうのでした。
なろう異世界モノは安易に脈絡もなくハーレムを築いてしまいますよね(今期の「俺ダン」見りゃわかるでしょ)。でも、この作品は、ヒロインが惚れちゃう理由をきちんと丁寧に描くんです。観ている方も「そりゃ惚れちゃうよね」ってわかる描写。
こういうところが丁寧で、視聴者の腑に落ちる展開だから、覇権って言われるわけなんです。俺ダンなんか足元にも及ばないレベル差。
少なくとも2クールだけあって、本当に丁寧。展開が遅いと感じるかもしれないけど、観ていて飽きないのは丁寧に積み重ねているからこそ。本当に素晴らしい出来ですよね。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}
エリスと一緒に転移させられ、ヒトカミに導かれて助けになってくれるルイジェルドとフィットアへ戻る旅を続けるロードムービー的な話になって、11話で1期は終了です。
とにかく、原作愛にあふれる制作陣というのがアニメを観ていて分かります。真面目に丁寧に、それでいて思い切りの良い大胆な演出。劇場版レベルの素晴らしい作画、力の入ったキャストの演技と、文句のつけようがない作品だと思います。
うん。駄作には語ることがいっぱいありますが、傑作は語ることがあまりないですw とにかく観ろ、としか。
7月からの2期も楽しみにしています。
{/netabare}