Progress さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
鬼滅の刃 レビュー
年末に一気見しました。
主人公竈門炭治郎の目的は、
鬼殺隊入隊後は家族の仇である鬼舞辻󠄀無惨を斬る、妹を人に戻すといった方向に目が行きがちでしたが、立志編(アニメ1期)の序盤については、妹を守るという点に焦点が当てられていると感じました。
妹が鬼になりたての頃に、冨岡義勇に切られそうになった時に、身を挺して守ったり、鱗滝左近次に修行をつけてもらったのは、鬼殺隊に入るためではなく、妹を守る力をつけるためです。
その守られる存在という妹、竈門禰󠄀豆子は、鬼となって自分自身を守る力を持っており、守られる存在から、共に戦う存在、共に生きる存在として、兄の中で立ち位置が変化していきます。
物語のメッセージを考える上で炭治郎のある性格が重要になってきます。優しさという感情です。
それは時に弱さ、甘さとして周囲に評価されるも、時としてそれは、救いになることもあります。
炭治郎のやさしさが振り向けられるとき、そこにはいつも、悲しさや寂しさの感情があります。
鬼の最後における、人であったころの感情の名残を見て、そこに寄り添う炭治郎のやさしさが、死の間際に鬼にとっての救いとなっています。
何人の人を殺めたかに関わらず、炭治郎はやさしさで最後に寄り添います。
その印象的なシーンは、鬼殺隊の面々による鬼の向き合い方を示すことでより明確にしています。
この炭治郎の優しさというメッセージ性をまとめると、罪を負った存在に対しても、悲しさに満ちて死んでいくとき、手を指しのべる、この点において共感性の揺らぎがあり、その揺らぎの答えを導いていく物語の展開に期待してしまいますね。
飽きないな、と感じた設定は、能力者VS能力者のような、どちらも同じ存在、という戦いではなく、剣士対鬼という図式で、剣士は剣技を使い、鬼は異能の力を使う、そこから生まれる様々な剣技と異能の戦いがあったことでした。その中に主人公の成長への期待が入り、そして素晴らしいアニメーションの力があったことで面白かったですね。それと、セリフ回しにも、独特な癖があり「長男だから我慢できた、次男なら我慢できなかった」という、炭治郎がどんな思考をしているかがわかるようなセリフとして入れたのかなと感じました。富岡義勇の「生殺与奪の権利を、他人に握らせるな!」からのセリフも、様々なモノローグでの本音を踏まえつつ、他人を厳しく励ます義勇らしい優しさが垣間見えます。
と、こんなところでしょうか。
無限列車編は、スクリーンで見るか、二期が始まる前に何でもいいから見るか、悩んでますね。