みゃあ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
構成を活かせる物語とキャラクターになってなかった
放送当時に視聴済み、大分ネタバレしていますので未視聴の方はお気を付けください。できればネタバレは読まずに観た方が良いです。
P.A.WORKS制作の美しい背景の山梨県が舞台としたアニメです。
物語
自らを神と名乗る少女がいきなり現れてから鳴神陽太は彼女に振り回されます。本名は佐藤ひな(本名あるんかい!)。彼女は30日後に世界は終わると言い・・・。
P.A.WORKSは私の好きな制作会社の一つで、このアニメは特にひなのキャラクターデザインも良く、序盤は声優佐倉綾音さんの頑張りもありとても楽しいものでした。
半ばから微妙になっていったのは、ストーリーの展開と恋に落ちていく構造が二重になっていて、序盤の「30日後に世界が終わる」というミスリードの設定の為、視聴者には恋に落ちて行っていることをわざと分からせない作りにしていたこと。
振り返って陽太がひなに恋に落ちていることを自覚して振り返る時に、それらの行程がエキソントリックな印象が強過ぎて(例えば3、4話とか)すんなりとは共感を得られにくいものとなっていることが大きいと思います。
そこがクリアできないまま、終盤の主人公が大声をあげたり動作が乱暴になったりを「繰り返したり」と、更に共感を得られない脚本演出になっていたのがきつかったです。
手術を受け、最早出合って賑やかで明るくて行動的なひなはもう戻らない。ひなに振り回されながら過ごした夏の日々、振り返ると楽しい日々だった。それは何故?ひなと過ごしたから。
それも鈴木少年に暴かれ、組織の手によってひな連れ去られ手術によりひなは陽太が知っているひなとは別人になります。
心に陰を持つ鈴木少年も己を身勝手に使う組織に反発もあり、ひなの居場所に陽太を案内します。
でも、目の前にいる自分のことすら記憶から無くなったかのようなひなの反応は陽太に絶望感をもたらします。
しかし、大声を上げたり、乱暴になるのは「ひな」にじゃないだろうと私は思います。中学生までならいざ知らず、大学受験の高校生がこれでは、どうやって巨大な組織の手からひなを取り戻すの。
物語上の不満をもう一つ上げるなら、組織やCEOや鈴木少年が物語を動かすただの都合の良いキャラクターとなってしまっていて、尻切れトンボだったことです。
おかげで消化不良となっていることももやもや感が残ることとなりました。
麻枝准さんのゲームはやったことはないのですが、こちらの放送直前に再放送されたエンジェルビーツが面白かったのと、キャラクターデザインが非常に魅力的でしたので期待していました。
作画に関しては良かったです。OP,EDのやなぎなぎさんの歌も含めて曲が良かった。麻枝さんのアニメは曲は外れ無しですね。凄いと思います。
また、じょしらくの蕪羅亭魔梨威といい、のんのんびよりの夏海といい元気のある女性をやらせたら佐倉綾音さんはとても魅力的ですね。
神様になったのはこの物語のスタート前と私は受け取ったのですが、自分の力で自由に動くこともできない、人より早い死を迎えなけれならない、博士よりひなに与えられた30日の輝く日々、そして最後にはちゃんとひなの記憶にそれらは大事なものとして残っていました。
普通であればここから輝く日々を手に入れる物語の方が明るい物語にできたかもしれません。
最初から泣かせると言われてたので、あえてこの構成にしたのだと思いますが、陽太が志望を替えて将来ひなを治すことができればそれも神様になった日でしょうか。普通とは逆に物語がこの構成を支えるものになってなかったという風に感じました。
(50/100点)