「イヴの時間 劇場版(アニメ映画)」

総合得点
78.3
感想・評価
1416
棚に入れた
7632
ランキング
562
★★★★☆ 3.9 (1416)
物語
4.1
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

素晴らしい時間でした

吉浦康裕作品。
氏の劇場版アニメーションで原作・脚本・監督を務めた作品としては最初の作品です。
なお、本作は元は約15分で全6話のシリーズだったのですが、6話を再編集し一本にして、「イヴの時間 劇場版」としています。

近未来SFものです。
その世界では家庭用ロボットが過去に実用化され、特に見た目が人間そっくりのアンドロイド"ハウスロイド"が一般化されて間もない頃となっています。
ハウスロイドは見た目だけでは人間と見分けがつかないため、頭の上にリングが表示されていて、また表情がなく、感情も無いものとされています。
主人公の高校生「リクオ」は、自宅で所持しているハウスロイド「サミィ」の行動記録に"Are you enjoying the time of EVE ?"という、妙なログを発見します。
友人の「マサキ」と共にGPSを辿ったところ、雑居ビルの一室に店を構える"イヴの時間"という喫茶店にたどり着きます。
その喫茶店は"人とロボットを区別しない"ことを謳っており、またその店内には様々な人々が思い思いの行動をしていた。

同監督の次回作"サカサマのパテマ"が期待はずれなできだったため敬遠していたのですが、本作は素晴らしいできでした。
『人と区別がつかないレベルのアンドロイドを開発し一般販売する』、『"イヴの時間"では特定の人物がいつもいるように見える(ご家庭は大丈夫なの?)』 など、気にかかる点はありましたが、次回作に比較すると主人公の感情変化の描写が非常に丁寧で、ストーリー上の粗はあまり気にならなかったです。
序盤アンドロイドに距離をおいているように見えたリクオのストーリーなんかは素直に感動できました。
描かれるのが友情だったり、家族愛であったりと、本作は恋愛が描かれていないんですね。
リビドー満載で「うへぇ」となった"パテマ"と違って、本作はきれいな感情が伝わって来るようでした。
見れてよかったなと、心から思います。

ただ、残念なことに、本作はシーズン1となっていて、ストーリーが描ききれていないです。
話中象徴的に語られる「時坂事件」というワードや忍び寄る倫理委員会の調査網、映画序盤で科学者が回路を積んだアンドロイドの足跡調査をしている(?)シーンなど、思わせぶりな伏線があるのですが、未消化のまま映画は終了します。
"イヴの時間"はそもそも何なのかすら明かされないまま終わるので消化不良の感があり、ぜひ続編を作って欲しいです。(望み薄ですが)

ストーリー的には中途半端な感じはありますが、描かれる物語は一篇一篇が輝かしくて素敵でした。
コミックス版だとその後も描かれているようなので、コミックスを読んでみようかと思います。

投稿 : 2020/12/31
閲覧 : 229
サンキュー:

7

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