テナ さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:----
世界の終わる夏
色使いや映像や演出が綺麗な作品ですね。
クスッと笑ってしまう様な展開が多いし本物の神様が名前負けするレベルで主人公の陽太の家族や友達は神様の名前ってのも面白いw
普通はここまで集まる事はないですが各キャラの名前が神様と同じってのは覚えやすくていいです♪
そして、神様面白いww
一人でテンションが高くて作品自体の明るさの半分は彼女のおかげでしょうね。
そして、陽太のヘタレっぷりやお馬鹿な所も可愛らしいですねw
ノリもいいし神様との掛け合いが楽しいww
1番、笑ったのは麻雀の回ですね。
麻雀牌ハクを印刷ミスだと思い捨て始めるしw
さて、この作品はネタ要素が強く感じますが、しっかり伏線を仕込んでいるあたりもまた魅力だと思います。
1番分かりやすいのが1話のお母さんに電話する話し。
お母さんは驚いた後にどんな姿かを確認する
この伏線はお母さんは過去に何かあり、この日が来るのが分かっていたのだと。
この伏線が1番わかりやすかったです。
さて、こんなギャグみたいな話しですが私が印象に残ってる話しが5話の「大魔法の日」
伊座波さんのお母さんの話ですね。
彼女のお母さんが大魔法とか魔法の研究とか言い始めたので神様が出るくらいだろうから魔術師や魔女が居ても可笑しくはないと思いましたが…全然違いました。
死んだお母さんがビデオメッセージを残したのを知った伊座波さん。
ビデオメッセージの内容はお母さんの魔法の研究成果
家族を幸せにする魔法。
でも、この魔法に掛かればメッセージを処分しお母さんを忘れる…
少しこのお母さんが言う「メッセージを処分して私を忘れて」なんて残される人にすれば、それがどれだけ残酷か…
家族に忘れろ?…出来るわけがない…だって大切な人を忘れられる訳がないから…
赤の他人なら忘れられる…でも、それが家族なら?友達なら?忘れられますか?
無理です…でも……
少し考えたのです。
お母さんの気持ち。
「魔法の研究」…それは「決意と悩み」
お母さんは自分の寿命がわかっていた。
自分の病が治らないのがわかっていた。
「自分を忘れてなんて」言えますか?
自分が大好きな旦那さんに…自分が産んで大切にしていた娘に。
「私の事を忘れて」なんていう一言を言うのにどれだけ勇気がいる事でしょうか?
とれだけ悩むでしょうか?
どれだけ苦しむでしょうか?
「家族が幸せになる魔法」…それは「祈りと願い」
死者が生者にしてあげられる事は何かを残してあげられる事なのかもしれません。
だから、お母さんが残したのはビデオメッセージと魔法…
お母さんは自分が大好きな旦那と娘の幸せを祈った。
自分が居なくなった後塞ぎ込む家族の未来が見えるから…娘と旦那…大好きだからずっと見てきたのだもの。
もしも、私がお母さんの立場になったと考えて自分が居なくなった後には、泣いて欲しくないもの…泣いてくれるのは想ってくれてる証でもあるから嬉しいけど……私も大好きな人達には前を向いて笑って幸せになって欲しいって思ったのです。
でも、自分が居なくなった後にそれが出来なくなるって考えたら、それが申し訳なくて辛い気持ちを背負ったまま眠りにつくかもしれません。
「大魔法の完成」…それは「決別」
魔法をかけた後のお母さんの目は涙を堪えている様に感じました。
これで、赤の他人です…そして終わるビデオメッセージは多分涙が溢れるから慌てて終わったのではないでしょうか…
だって、涙を流したら…
本当は忘れて欲しくないのに……
本当は赤の他人だなんて言いたくないのに……
それが伝わった瞬間に家族の幸せの魔法は解けちゃうから……
だから、見せてはいけない涙。
お母さんの魔法はきっと半分成功で半分失敗してる気がします。
だって、お母さんの言葉の本当の意味も家族にはしっかり伝わっているから。
でも、この魔法のメッセージは処分をして幸せに歩き出さないとダメなんです。
だって!この魔法を否定したら本当にお母さんの気持ちを消し去ってしまうから…
忘れてしまう事はないけど、幸せに歩き始める事を報告しに行った墓参りのシーンだったと思います。
次は、ヒナちゃんの話し。
育ての親の優しさや陽太の両親の優しさに触れた物語でもあり。
ヒナの家族の残酷さに触れた物語でもありました。
優しさの部分はヒナちゃんのお爺ちゃん。
お爺ちゃんは病気のヒナが生きていけるように諦めずに沢山の事を教えてくれた。
陽太の両親も優しいし凄く理解もある。
ただ、陽太の「ヒナがいつまで居られるのか」の質問は答えは濁していました。
何かを知っているのかもしれません。
そうして、ヒナの父に会いに行くのですが…
残酷の1つが彼女の母の死に方が自殺。
ひなを丈夫な身体で産んであげられなかったからと言う理由でした。
確かに、お母さんの気持ちも分かるのです。
子供はお父さんとお母さんの間に生まれてくる…でも、実際はお母さんのお腹から生まれてくる。
丈夫な身体で産んであげたかったって気持ちにはなると思う。
子供の辛い姿を見て平気でいられる両親なんて居ないだろうし、産んだお母さんとしては、やっぱり一番響くものがあって、色々と打ちのめされた部分はあると思います。
だから、悩み過ぎて……
それでも、私はお母さんの選択が正しいとは思いたくないです。
その子が産まれた時から病気なのはお母さんのせいではないからです。
そう言う身体で産まれた運命は恨むと思います…時には八つ当たりしちゃうかもしれません…それでも子供は自分の身体が丈夫でないからと心から両親…母親を恨むなんてないと思うのです。
それでも、ヒナちゃんは必至に生きようとしていたはずなんです。
お母さんが本当にそれが苦しくて、恨まれるのが怖いのなら本当にしてあげるべき事は…彼女の側に居てあげる事だと思いました。
彼女がもしそれを知ったら更に辛い気持ちになる事に気付いて欲しかったですね。
衝撃の2つ目はお父さん
このお父さんは何を知っているのだろう?
この話しの時点では彼の言う重い選択ってのが私には逃げにしか聞こえなかったです。
多分、当時は本当にヒナを助けるために身を削り続けたのでしょう。
そんな中、泣く泣く諦めた…でも、私には言い訳にしか聞こえなくて…
手を尽くしたって言うけど、実際に娘が目の前で日々苦しんでいるのを見て諦めるってのは逃げに感じてしまいました。
父は言いました。
「今更、元気なヒナを見せる事をどれだけ残酷かを」
これは、もぅ諦めた事にした娘の元気な姿をみせられて自分のヒナを見放した事実に罪悪感を感じると言う意味に思えました。
それを思い知らされたくなくて目を背けている気がします。
父は「奇跡は一瞬だから強く光り輝いてみえる」と言いました。
それなら、その僅な奇跡が起きている時間に出来る何かがあるのに。
何より、元気な娘が目の前にいるのに一言くらい掛けて欲しかったですね。
今、選択した未来があって大切な家族がいるのは解りますし一緒に暮らすことが出来ないのも仕方ないのかもしれません。
あの奥さんのショックの受け方を見てしまうと…でも、一言…たった一言でも父としての声を掛けてあげても良かったと思ってしまいます。
それに父として、たまに会う事も出来ないものでしょうか…
陽太はヒナに「お父さんに言い残した事はない?」と尋ねたら後、しばらくの間、父を見つめて「ない」と答えます。
ヒナは待っていたのかもしれません。
家へ上がったっ時、犬と遊んでいた時、帰る前まで…父からの言葉を…ヒナは陽太を案内しただけと答えましたが本当に興味がなければ案内だけして会わなくてもいいからです。
そうして、世界の終わり、の真実が明かされます。
正直、世界の終わりって言うのはしっくり来ませんでしたが、お父さんの話を聞いて、世界の終わりの秘密を気づいてしまいました。
予想通りと言えば予想通りでしたね。
そして、ヒナを奪いにくる黒服から友達が助けてくれて陽太と2人逃げるけど…逃げようとしてる陽太に対して諦めているヒナ…彼女の「どこへ逃げても一緒」は、彼女の世界の終わりがあるからでしょうか。
それとも、神さまだから逃げ場がないのが解るのでしょうか。
そうして、ヒナは連れ去られてしまう。
陽太がヒナと再会した時のヒナの姿は変わり果ててしまっていた。
陽太はヒナに拒絶されてしまう…彼は何度も悩み挫けそうになる…それでも必至に立ち上がりヒナとの距離を詰めようとする。
でも、そんな時に陽太のスマホの着信がなる。
それは伊座波やアシュラからの電話。
そして家族への電話。
沢山の人からのメッセージ
それが陽太の頑張る原動力になる。
それでも中々上手く行かない
最後のヒナと陽太の別れのシーン。
陽太の友達カードだけを拒否していた理由は少しビックリしました。
でも、ヒナは最後に陽太の名前を必至に叫ぶ。
実際にヒナの拒絶の明確な理由はわかりません。
ヒナは陽太を拒絶してたけど本当に拒絶だったのかな?
もしかしたら、ヒナはずっと嬉しかったのかも知れません。
本当は最初の再会で陽太の事を覚えていたのかもしれません。
なら、どうして拒絶したのかな?
怖かったんじゃないかな?
陽太が怖いのじゃなくて変わり果てた自分の姿を見た陽太が今の自分を見てどう思うのかが…
だから、どうすればいいか分からなかった。
それが拒絶と言う選択肢だったのかもしれない。
それとも最後に起きたのが本当奇跡だと言うのなら。
記憶を無くして居たのを思い出したのだとしたと言うのなら…記憶は何処に刻まれるのだろうか?
脳の記憶だけじゃなく心にも刻まれるんじゃないかな?
例えば、記憶喪失になった人が何かを思い出せるのは心にもワクワクや幸せな気持ちなどのアヤフヤ感覚でも心に刻まれてたりするんじゃないかな?なんて思ってしまいました。
ヒナちゃんは最後まで元に戻る事はありませんでした。
それでも、「おかえりなさい」を言ってくれる家族が居て、何も変わらずに接してくれる友達がいる。
私はそこに一番暖かさを感じることがが出来ました。
これから先、陽太とヒナは道は坂道と壁の連続かもしれない…簡単に奇跡も起きないかもしれません。
それでも、陽太とヒナは手を取り合い生きて行きます。
それでも、どうしようもない時は家族や友人が背中を支えてくれる気がします。