おかむ さんの感想・評価
4.1
物語 : 2.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
脚本に目を瞑り、感覚的に捉えれば名作?
実力のあるスタッフ、演者を集めたはずなのに、最終的によく分からない作品になってしまった……というのが最終話視聴後に抱いた感想。
2011年秋作品の中で最も期待していた作品であったため、かなりもやもやしたやり切れない気持ちである。
特にPVの期待感は過去に類を見ない名作を予感させただけに、どうしてこうなった?という思いは拭えない。
物語的にはグチャグチャ。
理解できない登場人物たちの行動や無茶苦茶な展開、二転三転する登場人物達の思考等、とてもじゃないがついていけない。
一瞬、自分の鈍さを疑ったがどうやらそうではなく、実際に脚本はグチャグチャなのである。
『ギャラクシーエンジェル』シリーズで有名な荒木哲郎、『マクロスF』や『コードギアス 反逆のルルーシュ』2作等のヒットメーカーである吉野弘幸や同じく『コードギアス 反逆のルルーシュ』2作を手掛けた大河内一楼という錚々たる三者が構成の中核を担ったのにも関わらず、このような脚本になってしまった事が不思議でならない。
要因は定かではないが、個人的には圧倒的な尺不足であった気がする。
声優は今、力のある演者を集めただけあり、非常にレベルの高い演技であったと思う。
2011年ブレイクした梶裕貴を主人公、茅野愛衣をヒロインに据え、もう一人の主人公を中村悠一が務める等、周囲を実力派や人気声優で固めた布陣は完璧だったのではないだろうか。
不満があるとすれば、やや遊び心に欠け、固い印象があった位で、基本的には違和感も無く、好演であった。
キャラに関しては一言で言えば、人間性を疑いたくなる屑が非常に多く登場する。
舞台背景や置かれている状況を考えれば、そういう人物が多くなる事も理解できるが、それでもとても共感出来ないようなキャラが多いのは残念の一言。
しかしながらデザインに関しては秀逸の一言である。
redjuiceの原案とそれを見事に生かした加藤裕美の手腕には素直に賞賛を送りたい。
メカデザインは流石というか、竹内敦志らしいどこか感情のある機械は見ていて面白かった。
作画も2011年秋作品の中では群を抜いており、歴代の名作画と比べても遜色の無い見事な仕上がりになっている。
アクション、表情、風景とどれを見ても非常に高い品質になっており、目で見て楽しめる事は間違いない。
音楽も抜群に良い。
作品の重い雰囲気を醸し出す上で澤野弘之の音楽は非常にマッチしていた。
また主題歌、挿入歌を手掛けたryoはその才能を発揮し、クオリティの高い音楽を提供している。
ヒロインの歌唱を担当したchellyや、オープニングやエンディングにsupercellとして参加したこゑ等新たな才能の台頭を感じさせる上でも、非常にレベルの高い音楽であったと感じる。
以上のようなことから脚本に目を瞑り、目や耳といった感覚的な面で捕らえれば非常にレベルの高い作品になっている。
ただ、面白いかどうかと問われると首を傾げざるをえない点が非常に残念である。
評価は大きく二分する作品であるが、一応ご視聴をお奨めしたい。