クドゥナルドシウバ さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:今観てる
何も捨てることができない人には何かを変えることはできないだろう。
リアルタイムで視聴していました。Fainal seasonが先日から放送開始されたため、復習がてら2周目を視聴することにしました。
作画・声優・音楽。この3点は申し分ありません。立体起動装置の人間離れした動きを非常に丁寧かつダイナミックに表現しています。エレン・イェーガー役の梶裕貴さんをはじめ、石川由衣さん、神谷浩史さん、下野紘さんなど、主役級の豪華声優陣は非常に魅力的です。音楽も素晴らしいです。巨人に他人が食される世界の残酷さや無惨さをよく表現しているBGMとそのタイミングは要注目です。
【1話~25話】
総括すると、「何も捨てることができない人には何かを変えることはできないだろう。」というアルミンのセリフがこの25話を通じて最も印象に残りました。
これまで、人類は100年以上巨人に自由と生命を脅かされてきました。そんな状況を変えるには、大事なものを、人間性すら捨てなければなりません。それを試みたのが、憲兵団所属アニ・レオンハートと調査兵団長エルヴィン・スミスの2人です。彼らは、自分の大義のため、祖国のため、仲間のために人間性を捨て去ることにしました。ともに訓練した仲間、その上官、他の調査兵団員たちをその手で次々と葬ってくアニ。一体何が彼女をそこまで突き動かすのか。その大義、目的は何なのか。すべてが謎のままに精鋭ぞろいのリヴァイ班のメンバー達さえ命を落としていきます。一方で、彼女は完全に人間をやめたわけでは無かった。巨大樹の森でエレンを奪還され、涙を流していたことからわかります。己の大義に従い、取り返しのつかないほどに殺戮の限りを尽くし、その先に何が残ったのか。おそらく何も残っていなかった。そんな無念さ、悲しみ、悔しさ、いろいろなものが混ざった涙だったのでしょう。その悪行からか、これまで彼女の心情にはあまりスポットライトが当たっていないように感じていました。アニ・レオンハートの生きざまに注目し見てみるのも面白いと思います。
そして、もう1人の注目人物がエルヴィン団長です。彼は調査兵団の指揮官として、人類の利益のために最善の行動を選択していきます。そして、その選択はしばしば多大なる犠牲を伴います。巨大樹の森での女型捕獲作戦では長距離索敵陣形を用い、平の兵士には何の情報も与えないまま、知性型巨人を炙りだします。あの作戦で何人の兵士が命を落としたのかわかりません。また、ストへス区でもそうです。周辺住民の命や建物の損害を一切考慮せず、アニの拘束を目指しました。まだ完全に制御できず、暴走する可能性もあるエレン巨人化も作戦に組み込みました。エルヴィン団長は、目先の大勢の兵士と壁内人類全体の命を天秤にかけ、後者を選択したのです。大量の死亡、負傷者を前提とする決死作戦を2度も仕掛けています。並大抵の人間に考案できる作戦では到底ありません。発想があまりにも非人道的でしょう。ですが、彼もまた、人間性を捨て去ることによって、人類の勝利への小さいけれど着実な一歩を踏み出したのです。鋭い洞察力、人類の長期的な利益を見据えた決断力、不測の事態にも対応できる判断力、これら3点を備え持った作中屈指の名指揮官です。彼の非情にも見える作戦と決断に注目です。
1st seasonで魅力的なキャラ2人を上げてみました。大きな成果を得るためには取捨選択は欠かせません。結果、アニは何も手にすることができなかった一方で、エルヴィン率いる調査兵団は人類の勝利への1歩を手に入れまし
た。エルヴィンやエレンを中心とする調査兵団はその先に何を見るのか。