蒼い✨️ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
人気作品。
【概要】
アニメーション制作:ufotable
2019年4月 - 9月に放映された全26話のTVアニメ。
原作は、『週刊少年ジャンプ』に連載されていた吾峠呼世晴による漫画作品。
監督は外崎春雄。
【あらすじ】
時は大正。働き者で誠実な少年の竈門炭治郎(かまど たんじろう)は父を亡くしていて、
六人兄弟の長男として母を助けながら、
山の中で家族とともに生活は楽ではないが幸せに暮らしていた。
雪が降り積もる冬のある日、いつものように炭を売りに町に出かけた炭治郎は帰りが遅くなり、
一晩泊まってから山に戻ると、家族は血まみれで死んでいた。
唯一、息のあった妹・禰豆子(ねずこ)を救おうと背負い、
医者がいる町に運ぼうと雪山を下りる炭治郎。
その途中で、禰豆子が突然唸り声を上げたことに驚いた炭治郎は足を滑らせた。
禰豆子は血走った目で牙を剥き出して炭治郎に襲いかかる。それはまさしく人ではなく鬼の姿だった。
【感想】
短期的ではありますが『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』を凌駕する超人気作品。
原作は既に終了しているものの、今後しばらくは映画興行収入歴代一位を筆頭に、
絶対的なコンテンツとしてアニメ業界の巨大な柱であることを期待され続けるのでしょうね。
原作者の吾峠呼世晴先生は漫画が大好きであらゆる作品から影響を受けていますよね。
それが、『銀魂』や『BLEACH』であったり『犬夜叉』であったりしていますし、
~の呼吸は『ジョジョの奇妙な冒険』の波紋法でありますし、
ラスボスの鬼舞辻無惨(きぶつじ むざん)はDIO様と吉良吉影の要素を含んでいたり、
我妻善逸(あがつま ぜんいつ)なんかも部分的には桑原和真とポップと横島忠夫の要素がありますね。
そういや、『るろうに剣心』で見たような悲しい過去があるキャラが柱にいたなあ。うへへへ。
作者は、漫画で得た雑多な知識を編み込んで練り込むのが非常にうまい漫画家と言ってしまえば、
それは邪推かもしれませんが、多かれ少なかれ漫画家は何かしらの影響を受けているものであって、
情報過多の今の時代に誰も見たことのない画期的なものを作るのは難しいのでしょうね。
超ヒットの理由としてキャラ人気があるのかもしれないですが愛着があまり湧きません。
戦闘中にギャグが頻繁に顔を覗かせるのは、徳弘正也→尾田栄一郎の系譜でありますし、
空知英秋もよくやってること。それは『鬼滅の刃』でも踏襲されてるのですが、
異常であることを是とした個性至上主義のキャライズムが愛嬌としてウケてるのでしょうが、
造形的にもギャグの色が強めでデザインがシリアス映えしないと言いますか、
本当に茶化してはいけないシリアスなシーンは切り替えてシリアスとして描いているにせよ、
本気とおふざけが隣り合わせすぎてシームレスに思えるのがエモの刺激を阻害していて、
単体では良いシーンが有っても鬼滅のキャラ付けや物語が個人的には刺さりにくいポイントです。
アニメを観てて思ったのは流石に映像も音楽も綺麗ですし、
流行るだけの作品の質はきちんと押さえてはいますね。
ただ、目が見えない人にも内容を全部理解しやすいが如くに台詞が説明的すぎやしないか?
特に、戦闘中を中心に映像で起こっていることを、
炭治郎が全部口で実況・解説してるのはリアルじゃないなあと、そこがイチイチ気になりますね。
しかし、邦画みたいにボソボソ喋ってて台詞が聞き取りにくいのとは逆に、
キャラが見たものや思ってること等を大声でハキハキと喋るほうが、
視聴者に非常に優しくて展開を理解して飲み込むのに最適なのかも?
アニメでも実写を参考にしたり、繊細に凝ったりなどのカメラワークや演出をする作品がありますが、
それはわかる人だけわかればいい…みたいな技術や美術の技巧は、
凄いものを生み出すことがある反面、マニア受けの傾向が強くて、
鬼滅のメインターゲットの小中学生に見てもらうには、足かせになっているのかも?と思ったりです。
逆に、鬼滅のようにわかりやすさや漫画的な演出を多用したほうが基本に忠実な王道と呼ばれて、
万人に受け入れられやすくて喜ばれるのがエンタメ作品の成立には重要なのかもしれませんね。
鬼滅を見てイマイチだな!と思っている層は、あの作品のほうが凄い!
と必ずしもなにかしら自分の中の名作アニメと比較していると思います。
ただ、満遍なく受け入れられる作品は一定の制作クオリティを保ったままで、
フラットなとっかかりやすさこそが一番大事なのかな?と思いました。
と、鬼滅の作品世界を素直に楽しめなかったのは、“感性の老化”ということでしょうかね。
かつて、連載中の『うしおととら』『ダイの大冒険』に熱中して心を動かされた頃の自分が、
『鬼滅の刃』に出会っていれば、また違った感じ方をしていたかもしれませんね。
これにて、感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。