ウェスタンガール さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
環世界の住人達
先日、日経の春秋欄に、生物学における環世界の視点と、コロナ禍におけるメンタルの問題を掛け合わせた面白い記事があった。
多くの生物は、それが人類に近い存在であるチンパンジーであっても、自らが知覚する世界のみにおいて生を完結しており、いわゆる閉じた世界、すなわち環世界に生きているそうだ。
方や、我々人間は、言葉と想像力によって環世界から抜け出した存在であるり、未来に望みを託すこともできれば、将来を憂い、絶望の果てに悲惨な結果を招いてしまう存在であるという。
まあ、それであるからと言って、こんな時だからこそ、目の前のことに集中していかねば、などと説教じみた話ではなく、ふと、ビバック号の住人達を思い出したのである。
故郷を無くした根無し草の4人と一匹、その儚く刹那的ではあっても、なぜか楽し気で前向きさを貫き通す姿勢にロマンを感じるのである。
テイストで言えば、同時期、NHKでも放送されていたBBCのSFドラマである“宇宙船レッドドワーフ号”を思い出される方も、いないか(笑)。
ちなみに、スパイクの人、山寺紘一さんもキャットの役でご出演だったそうで、覚えてないなぁ。
さらに、生活感あふれる宇宙船内部の設定は、伝説のSF映画、“ダークスター”の世界から始まったと言ってもよく、制作者の二人である、ジョン・カーペンターはスネーク・プリスキンという永遠のダークヒーローを、ダン・オバノンは“エイリアン”でのノストロモ号、その造形で金字塔を打ち立てるのだ。
そんな流儀を下敷きとして、ビバップの世界が作り上げられたに違いないのではあるが、そこに日本人的な美学を持ち込んだところに、このアニメのオリジナリティを感じるのである。
そう、黒澤明の“用心棒”、敵役で仲代達矢が演じるガンマンの生き様がスパイクにダブるのだ。
BANG!
覚えているかな?