「リズと青い鳥(アニメ映画)」

総合得点
86.0
感想・評価
572
棚に入れた
2371
ランキング
217
★★★★★ 4.1 (572)
物語
4.0
作画
4.3
声優
4.0
音楽
4.2
キャラ
4.1

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ネタバレ

シボ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

羽ばたけ!青い鳥

物語序盤から、コツコツ歩く革靴の音や、服のこすれる音。
あの集音マイクで拾ったような音の世界。
そして足元の描写が多かったり、髪が揺れる後ろ姿。
目線が下向きだったりみぞれの体感している世界観なのかな~なんて
思って観てました。

希美だけを見つめているみぞれですけど、中学時代の頃と
同じように希美にはフルートパートの仲間達の中心に常にいて、
2人きりになれるの朝練のひと時が大事な時間。

序盤は青い羽根を受け取ったみぞれがひたすら希美を追い求めてって
展開で、ちょっと心苦しかったです。

フルートパートって吹奏楽部でも如何にも女子!ってイメージで
賑やかな感じですね。
(フルートの人すいません、花形パートだなって自分のイメージです)
きっとみぞれはその輪には全く興味ないし希美だけ振り向いてくれれば良いんでしょうね。

数少ないオーボエパートには、そんな輪をちょっと羨ましがってる
可愛い後輩がいます。

いつもつれない先輩を慕って頑張る剣崎ちゃんです。
独特の雰囲気で、お礼にゆで卵渡しちゃうような不思議ちゃんなとこも。

フルートパートの先輩と後輩の垣根なく話が弾んでいるのを
羨ましそうに見てる姿は可愛いですね~!

「のぞ先輩」や「つぼ先輩」に対しての「みぞ先輩」ってほのぼのします。
そんな一生懸命に先輩を慕い続ける剣崎ちゃんに
ずっとつれなかったみぞれも少しずつ心を開いていきます。
(この2人のネームってガードの固い鎧を剣で壊していって
 凍った心がみぞれのように溶けていくってイメージなのかな~?
 なんて思ってみたり・・)

オーディションに落ちちゃった~って涙する剣崎ちゃんを励ますために
希美から誘われたプールに剣崎ちゃんを一緒に連れて行ったり、
最初の頃から少しずつ距離が縮まっていく人数の少ない
オーボエパート組を応援したくなります。
(あっ 更に遠慮がちなファゴット2人組もいれてね)

「来年は頑張ります」って2人でオーボエを奏でるシーンは素敵でした。

リズと青い鳥でいう
自由奔放な青髪の少女(青い鳥)は希美で
いつか自分のもとを去ってしまわないかを心配するリズに
気持ちを寄せて考えるみぞれ。
自分がリズなら青い鳥をかごに閉じ込めておくと言い切る姿に
3年生になっても根っこは変わってないねって。

あっ3年生といえば、優子や夏紀のコンビも相変わらず良いですね~。
特に夏紀が色々な場面でナイスフォローする姿、素敵すぎです!

中盤からは
いつも背中からついてきた独りぼっちだったみぞれと
みぞれを常に導いてきた希美の関係が変わってきます。

新山先生から音大を進めれるほどの才能もあって、
後輩からも慕われるようになってきたみぞれに対して
音大を目指すと言いながらも才能の差を感じて嫉妬する希美。

2人の関係が明らかにぎこちなく微妙になっちゃいます。
ハグをしてって、手を広げたまま置いてけぼりになったシーンは
ちょっと切ないですね。

そんな上手くいかない先輩達に対して
麗奈と久美子の第3楽章のソロの掛け合いは、同じメロディーなのに
寂しげな感じがないの不思議です。
楽し気な2人の姿がなんか嬉しいシーンでした。

青い鳥を自ら手放すリズの気持ちがどうしても理解出来ないみぞれに
新山先生は、もしみぞれがリズではなく青い鳥だったらって問いかけます。

愛するが故に寂しいけど自由に羽ばたいて欲しいリズの気持ち。
リズを愛するが故に断ることが出来ずに羽ばたくしかない青い鳥。

そして二人はようやく気づきます。
みぞれがリズで希美が青い鳥とずっと思ってた・・

「でもいまは・・・・」

 二人が同時に声を上げる演出!こっちもゾワっときたよ~~。

自分が青い鳥の少女であることを知ったみぞれの
第3楽章でのオーボエは凄かったですね。
青い鳥の飛び立つ挿絵じゃないけど力強くてどこまでものびやかに
響いて素敵でした。

そしてフルートは希美のUPで抜かれるせいもあるんだろうけど
やっぱりなんか悲しげに聞こえるから不思議です。
掛け合うパートのところはちょっと切なくて涙浮かびました。

合奏後に目を腫らした希美はみぞれに本音をぶつけます。
みぞれも本当の気持ちを伝えての大好き!のハグ。

正直、繊細すぎて彼女達の気持ちをたぶんちゃんとは理解出来てない
のが本音ではありますけど、
西日が差し込む中、抱き合う姿はただ美しかったな。

後半は
お互いの気持ちをぶつけ合って、どこか吹っ切れた爽快感ありました。

進路を決めた2人の朝のシーン
音楽室へ向かうのぞみと図書室に向かう希美。
2人にそれぞれの道へ踏み出すのを、歩みだす足先が
反対へ向くことでわかります。
その歩みはもう迷いがなくて、足音が心地よく聞こえます。

そしてみぞれの楽譜には、青い鳥に はばたけ!のメッセージ。 
(楽譜の手書きメッセージは前にもあったけど泣けますね~。)

お互いの進む道を認め合ったうえでの素直な気持ちがタイミングよく
口をついて出た瞬間
 「ハッピーアイスクリームっ!」

みぞれのこういうところって可愛いし、あのコンクール発表後でも
見せてくれたニッコリで締めてくれました!

微妙に変化していく気持ちをとっても繊細に描いた素敵な作品ですね。
演奏を期待してたのでもう少し聴きたかったです。

最後に羽ばたいたみぞれのあの演奏をフルで聴かせてくれたら
多分泣いたな~(笑)

投稿 : 2020/12/19
閲覧 : 338
サンキュー:

48

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