fluid さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
3期は謎の女の子が主役、善悪とは何か
3期は謎の女の子が主役と言っても過言ではないですね。主役が違うスピンオフのような展開でした。2期の終わりにチラっと登場した謎の女の子が中心のお話。最終回までずっと。肌が青く鱗が付いてて耳も長く「ここ、どこ?」と言葉を話す。(2期ラスト)
この子はいったい何なのか?とか、意見の違いから仲の良い主要キャラクター達が対立したり、シリアスで重苦しい展開が大部分を占めます。私はかなり楽しめましたが、1~2期のような明るく温かい日常ドラマやベル達の成長、冒険を期待して人からするハズレかもしれません。
横からふっと湧いて出た女の子が中心となる展開がほぼすべてなので、この子に共感できない人は3期すべて楽しめないと思います。話が進んだ気がしないという感想が多いのもそれが原因でしょうね。
実際、終わってみて、ベル自信やアイズ達には成長も何も無い、何ら変化がないので。しいて言うなら、ベルの心が成長したという感じでしょうか。人の汚い部分を見せつけられ、何が正しいのか分からなくなり、悩み苦しみ壊れそうになる描写が続いたりして、今回はかなり哲学的な要素が強いですね。見たかった日常ドラマは少なかったけど、これはこれでかなりGood。
■敵か味方か?その答えは
{netabare}モンスターは敵か味方か?その答えは、良いモンスターも居れば、悪いモンスターも居る。すべての個体をまとめて判断しようとするから矛盾が発生するわけですね。良い人間や悪い人間が居るのと同じ。もっと厳密に言えば、AからみてCが悪人だとしても、BからみたらCは善人かもしれない。人の数だけ違う答えがある。
ベル自身、そのことに早い段階で気づいていた感じですが、だとしても、それを、アイズや街の人たちに伝え、理解してもらうのには大きな壁があり、それをどう乗り越え、解決するのか。ワクワクが止まりませんでした。
■神ですら判断できない問題
「神様、ダンジョンって何なんですか?」
神たちですら、悩み、頭を傾げ、判断のつかない状況。公に手を貸せば助けた人まで叩かれる状況。そして、手を貸してもらうことで迷惑をかけることをとても気にするベル。口に出せず迷い悩み。まるで人と人の信頼関係が試されるような展開ですね。問題が大きければ大きいほど、その大きさが関係の強さを表し、助けてくれる仲間や他のファミリアのみんなが輝いて見えました。
■ベルとアイズの立場が分かれたシーンは印象的でした。
「アイズさんはモンスターが僕たちと変わらない感情を持ってるとしたらどうしますか?」→「危害を加えてこなくてもモンスターのせいで誰かが泣くなら殺す」
感情があるとしたら?という問いかけに関係の無い無視した回答で、しかも危害を加えてこなくても殺す・・・
ベルにとってのアイズは生きる目標のような絶対的な存在ですから、すべてを否定されたように感じたんじゃないでしょうか。初恋の人にふられてこの世の終わりのような表情を浮かべるベル。完璧だと思ってたアイズの理想像が崩れていくように感じたかもしれませんね。
いままでは、アイズを追いかけるあこがれや夢や希望を原動力に努力していたベルですが、今回はそれが無い。素の状態のベルの人間性、心の強さが試される展開。
■最終回のアイズに訓練をお願いするシーンでは、今までと違ったベルの表情が見られました。
・昔は → 生まれたてのヒヨコのように疑うことなくアイズを追いかける。アイズが目標。
・最終回 → アイズにペコペコする素振りは無くなり、真面目な表情で訓練をお願いするベル。自分の守りたいものを守れるようにするため強くなる必要があるという表情。次こそは誰も傷つけさせないぞという表情。
{/netabare}
■3期はスピンオフのような内容
・1~2期のようなベル達のほっこりとした日常ドラマ(10%)
・いきなりふっと湧いて出た謎の女の子が中心となって取り囲むようなストーリー展開(90%)
好きなキャラクター達がまるで悪人のように描かれたり。人によってはかなり受け入れられない展開だったと思います。善悪がただの概念でしかないことを知らない人には理解が難しい展開ですね。答えは「万人に共通する答えなんて無い」「人の数だけ答えがある」ですね。「善悪」でネット検索すると沢山出てきます。
■この作品は以前から哲学的な要素がチラ見せされてますね
・仲間を殺され復讐しブラックリストに載る。善悪とは?
・娼婦は救われるべき存在かどうか?
・誰かを助けると誰かに迷惑が掛かる状況でどうするべきか?
・世界を滅ぼすかもしれない龍の鱗が村を守っている。善か悪か?
・生きる時間の違う神さま達と人は恋愛できるか?するべきか?
・死んだあと魂はどうなるのか?また出会えるか?
・助けたかった人に助けられ、死なせ、どちらが死ぬべきだったのか?
■この作品は「不自由な二択」が多い
どちらを選んでも何かを失うという「不自由な二択」を突き付けられたとき、今までのパターンだとベルの答えはそのどちらでもない第三の答えを選択する傾向が強いです。
■ミノタウロスがまた出て来たときは笑いました。ベルと言えばミノタウロスですよね。しかも、{netabare}あのミノタウロスの生まれ変わりなのか!と思わずツッコミを入れたくなるような展開(笑)そして、まさかのミノタウロスとのライバル関係へと発展。人と人のライバル関係じゃないんかい!さすがです。
{/netabare}