waon.n さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
絵の力 × 表現力 = アニメのすごさ【追記あり】
【First impression】
すっげーの見ちゃった!!
なんかジブリ見たいなーって調べていたら見つけちゃいました。たったの6分30秒そこらですが情報が多いのなんのって。こんなにワンカットづつで表現することができるなんて絵の構造をしっかりと組み立ててあるからこそできることだと思いますし、それを可能にしているのはセンスと経験(情熱)なんですかねー?
説明もなにもなく、キャラのセリフもないので、完全に想像と妄想を駆使してレビューをおこなってみたいと思います。勘違いやお思い込みも十分あるので、そんな見方をしたのねコイツって感じでよろしくです。
【Story synopsis】
核爆弾だか核施設だかによる汚染があり荒廃した地球上で人の住む地域は大きなプラットフォームの中という限られた空間になってしまった。
そんななか、聖なる新星を求める宗教が武装し政府と対立するようになっていた。その本拠地を制圧するために警察が派遣された。警察は建物内を調べていくと、一人の天使(翼を持つ種族)が幽閉されているのを発見するのだが……。
【Staff】
制作はスタジオジブリ。監督は宮崎駿さん。プロデューサーに鈴木敏夫さん。作画監督に安藤雅司さん。音響監督は浅梨なおこさん。
安藤雅司さんはこの後に制作した『もののけ姫』でも作画監督しており『千と千尋の神隠し』ジブリ以外では『パプリカ』でも作画監督を行っていたみたいです。来年公開予定の『鹿の王(原作:上橋菜穂子さん)』が初監督作品になるようです。原作はここ何年かずっと売れ続けていて本屋でよく見かけていて気になっていた作品だけに早く観たいものです。上映時期がエヴァと重なりそうで、忙しくなりそう。まぁエヴァは延期する可能性もあるし……。
浅梨なおこさんはジブリ作品もそうですが、『パトレイバー2 the movie』や『ガメラ3 邪神覚醒』など個人的に好きな作品に参加しているようです。今回の作品のようにセリフがない、そしてバックにはずっとチャゲアスの歌が流れている効果音の使う位置や音量など繊細な作業だったかと思います。この作品の中で“スゴい!”ってなったのが、トンネルを抜ける時の空気圧の変化とか戦闘機のジェット音がブーストする瞬間から安定する間の使い方とか、なんかよく分からん機械のレーザー音などなど。歌に合わせて音を出す場所と出さない場所を選んでいるというのもあるとおもうので、全てに音がついているわけでも無いんですが、いや本当にどの場面でも良い演出になっているんですよ。
【Review】
物語は一見のヨーロッパあたりで見られそうな田舎ののどかな風景から始まります。木々などの自然を写しながらカメラは横スクロールしていき次第にその世界観が顔を出してきます。まず不思議な形の巨大な建物があり、その麓には寂れてしまった街並みが顔を出しております。そこには人影はなく、廃村であることがわかります。そこから一気に未来的な建物の中に場面に切り替わり、トンネルのなかへ警察の飛行物体が突入していきます。そして映し出されたのは目的地のビルディング。そこへ思いっきり突撃する飛行物体。
ビルには「GOD IS WATCHING YOU」と「聖NOVA'S」と書かれたネオンサインが目立つように描かれている。その中には目をモチーフにした頭巾をかぶっている団体の武装している様子が映り、突入した警察と銃撃戦を繰り広げていく。
乗り物にはどれも放射線マークが入っています。これは多分放射線使用する場所で使われているという記号で、乗り物は外で扱われるもので、つまり、外は放射線により汚染されているということがうかがえます。
それに対して宗教団体は「聖NOVA'S」直訳で聖なる新星? をうたって政府と対立していることを表現しているようです。
これにより冒頭のスクロールで外の状況を見せているのがしっかりと意味をもつようになるわけですね。
物語は途中巻き戻っているように見えます。これは“On your mark”陸上などで位置についてという意味ここからよーいドン!でスタートなわけですねつまりスタート前にやり直すことを意味しています。
じゃあスタート前ってなんなの? ってなった時に私は外の世界に出ることができる世界へのスタートラインを意味していると感じました。
これは一度失敗して、やり直した結果、外の世界へと飛び出し、天使を空へと送り出すことに成功する。というストーリーからも読み解いたものです。しかし、彼らの行く先にはいくつもの警告する看板がありますが、彼らは笑い飛ばすように車を飛ばします。
その姿が爽快で未来に希望を抱かせてくれます。大丈夫まだやり直せる
、とそう言ってくれているようです。
福島原発事故が起こるずっと前の作品で原発の存在を危惧したものなのでしょうか。あと20数年もすれば核爆弾というものが世界に登場して100年ですが、登場により世界を変えたように次の100年で進化を遂げるか廃絶への道を進むかなんてことまで考えさせられてしまいます。
このたった6分40秒ほどでこれほど雄弁に語れるものか、その絵の力と表現力をもったアニメーションだったからこそ、すげーの見ちゃった!って感想に落ち着くわけです(意味不明)。
この作品は『ジブリがいっぱいSPECIAL ショートショート 1992-2016』で観ることができます。また、2019年にBlu-rayでも発売されているので、機会があればぜひ一度ご視聴をおススメします。
【追記】
オタキングと自称し、実際にガイナックスの初代代表取締役社長でもあった岡田斗司夫さんの解説みまして、驚愕しました。
私の感じ取ったり読み取れた部分なんてまだまだ表層。完全に宮崎駿にやられました。でもね、こんな6分40秒くらいの作品にあれだけ詰め込まれたらんなの分からんです。逆に6分くらい集中して観てみろ! と言われているようにも感じるわけですが……。もし、この作品に触れることができたらぜひ岡田斗司夫さんの解説を見ることをおすすめします。
宮崎駿恐るべしって感じです。
どうでもいいけど、これカラオケの映像にしたら良いのでは? ジブリ的にダメかなw