Fanatic さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
メインヒロインが無表情系の日常ラブコメ。完結編は超♡♡エンド♪
原作は少年シリウスで連載されていた漫画で、作者は「弱ペダ」の渡辺航さん。
制作はJ.C.STAFF。
監督は「ワンパンマン2」等の櫻井親良さん。
シリーズ構成は「本好きの下克上」等の國澤真理子さん。
キャラデザは「緋弾のアリア」「アリスと蔵六」等の岩倉和憲さん。
主人公の高校生・柴木耕太が、魔女のるるもを偶然召還してしまい、人間界で修行が必要となったるるもと同棲生活をスタートさせる、というのが序盤の展開。
よくある人外ヒロイン物のテンプレですが、メインヒロインのるるもが、感情表現の少ない無表情系というのは結構珍しいんじゃないでしょうか。
雑に言うと「うる星やつら」のラムちゃんが長門有希に変わったような内容かなw
この、三森すずこさん演じるるるもがハマる方は、キャラだけで結構観れちゃうと思います。
一方、足を引っ張っていると思われるのが主人公の耕太。
明るく能天気である一方、スケベで女子が大好きという「うる星」の諸星あたるのようなキャラで、なんか、昔の少年誌のお色気漫画によくいたような主人公。
序盤からお色気シーンも多く、このおちゃらけた主人公を受け入れられるかどうかが評価に大きく影響している気がします。
ただ、単におちゃらけているだけじゃなく、他人を守るために、使えば自分の命が削られるという魔法チケットを使用する優しさも併せ持っています。
耕太がどんな場面でチケットを使うのか、というのは、ストーリーの軸になると同時に、耕太の魅力を高めていく大きな要因となっていきます。
序盤から中盤にかけては、人間界の文化やルールに疎いるるものカルチャーギャップに関わるエピソードが多め。
るるもが無口なぶん、関西弁の使い魔・チロの細かいツッコミが笑いをさそって、なかなか良いコンビ。
たまにサイコになるお母さんとか、ひそかにコスプレを趣味にしている雅子など、全体的にテンションの高いキャラが多いですが、るるもが無口なので結構いい匙加減だと思います。
CM時に挿入される漫画風のアイキャッチも各話で違って、見逃すともったいないくらい面白いものが多かったです。
基本的にはコメディパートが中心で、テンポもよく、気持ちよく笑える作品になっていますが、ちょくちょくハートフルなエピソードもあって、笑いあり、涙あり、感動ありと、飽きのこないバランスの良いシナリオでした。
このまま、日常コメディのようなノリでずっといくのかと思いきや、9話くらいから、徐々にるるもの感情表現が豊かになってゆき、耕太とるるものラブコメ展開に。
一話完結型なので、単純にギャグコメ作品として気軽に見ても楽しめると思いますが、魔法チケットが主人公の寿命とリンクしていると言うやや重めの設定も相まって、どことなくメランコリックな雰囲気も通奏低音のように響いている不思議な空気感の作品でした。
TVシリーズ12話では魔法チケットを使い切るまでには至らず、続きはOVAである完結編に引き継がれることになります。
あにこれではOVA情報の掲載がないので、ここで、完結編についても触れておきます。
完結編は、チケットを使い切って命を失った耕太の魂に、魔界へ帰ったるるもが想いを伝えに行くというストーリー。
かなり駆け足な展開でしたが、耕太の登場しないシーンが大部分で、ラブコメなTVシリーズとはちょっと趣を事にする内容でしたので、前後編合わせて50分はまあまあ妥当だった気がします。
{netabare}この完結編の意義はやっぱり、超ハッピーエンドで締めくくるラストシーンでしょう。
TV版だけでは、続編を予感させるような中途半端な幕引きにされていたので、完結まで見せて頂いた点に関してはとても満足しています。{/netabare}
総評として、印象の強い名作というわけではないんですが、ここまで評価点が低くなるほどつまらないとも思わないんだけどなぁ……。
全体的にいろいろ薄味ではありますが、ハズレの少ない王道ラブコメですし、最低でも70は超えていいレベルの良作だと思います。
耕太のキャラさえ受け入れられれば、という条件付きですが(ˊᗜˋ;)