テナ さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
1つの家族の形
この作品は見終われば凄く印象に残る気がします。
様々な気持ちをしっかり形にされていてメッセージ性も凄く感じられました。
主人公はヨルフの民…人より何百年も生きることが出来る少女マキア。
そして、友達のレイリア。
人里を離れ布を織って生きる一族。
彼女達は、さよならの一族
マキアには家族がいません。
だから、周りの家族を羨ましいと思ってしまう。
一人が寂しくて…家族が欲しくて…
それに気付いた長老が話をしてくれる自分達の事を。
でも、長老はこうも言う、「外の世界に出て外の人に出会ってしまうと独りぼっちになってしまう」
外の人は彼女達よりも寿命が短い。
だから、外で出会ってもその人達は先に命を失う
その夜…彼女達の里は王国から狙われて襲われてしまう。
そんな中、マキアは偶然にも外の世界へと出てしまう。
彼女は人里離れた森で子供の泣き声を耳にする。
そこには集落があったのですが、その集落は盗賊により全滅させられていた。
そこで、出会ったのは1つの命。
それが物語の始まり。
小さな少女がお母さんになった。
救われた赤ん坊が少女の子供になった。
優しい物語の始まり。
子供の名前はエリアル。
最初は、お母さんと言うには頼りなくて…子供が子供を育てる様な戸惑いばかりの毎日
彼女はとある民家に行き着く。
ラングとネロと言う兄弟の居る家
そこでは愛犬一匹とお母さんが一人で子育てしている家。
そこの家族に助けて貰いながらマキアは少しづつお母さんになっていく。
エリアルもすくすく成長して大きくなっていく。
そんなある日、レイリアが王国の王子と結婚する事になると偶然知ったマキアは彼女に会う為に旅に出る決意をする
そんな中、愛犬オノラが寿命を迎えてしまう。
多分、彼女は初めて命が尽きたのを目にしたのだと思います。
彼女はお母さんである前に一人の少女…死の別れが…自分の死が…怖くて悲しくて。
子供の頃は死がとても怖く感じました。
私は怪我をするたびに泣きながら「え?死ぬんじゃない?血がすごくでるよ」なんて怪我のたびに親に泣きついていた事があります。
実際にはカミソリで手の指を少し斬ったり擦り傷だったり、高熱の風邪だったりしたのですが…それだけ死が怖い存在だったのを覚えています。
だから、このシーンは少し昔の自分を思い出しちゃいました。
次の日、彼女は友に会う為に旅に出る。
そんな中、同郷のクリムに出会い彼らは同胞と共にレイリアを救い出す作戦を立てていた。
マキアはレイリアに会う事には成功するけど彼女のお腹の中には赤ちゃんが居て…一緒には行けないと言われてしまう。
そのあと、皆んなと別れてエリアルと2人で、また旅をする。
でも、どの街も店も2人を中々受け入れてくれる場所はなくて…
そんな状況をエリアルは他の人がマキアを虐めてると感じて守ろうとする。
でも、やっぱり子供だから、どうしてもそれを邪魔してるようにしかならなくて…
仕事も住む場所も見つけられない不安からエリアルに当たってしまう。
そうしてなんとか住む場所と働き口を見つけ生活は安定する。
数年後、エリアルも成長してエリアルも働きに出る。
仕事先で再開したのは昔お世話になった家の長男ラング
一方、レイリアの娘は成長するも母であるレーディアは幽閉され子供にも会わせてもらえない日々を送って居た。
娘はなんだか、世の中?自分の置かれてる環境?にウンザリしているような…なにかを諦めたかのように冷めた雰囲気がありました。
生きる事に楽しさを見出せないような。
そんな中、マキアを王国が探しているとラングから聞かされます。
そして、告白もしてもらいます。
でも、マキアは自分の子供のエリアルの事や自分の事で手一杯だからと断ります。
でも、そんな夜にお酒を飲んだエリアルが帰ってくるのですが…そこで人騒動があります。
エリアルがマキアに鬱憤を吐き出すのです…
エリアルはマキアを長寿体質のせいで周りから親子だと見られない事が不満で…
そして、もしかしたらエリアルはマキアに少し恋心もあったのかな?って感じたり。
ここから2人の道が少し外れて行く。
エリアルは王国の兵団に入り、マキアは同胞のヨルフの民に攫われレイリアを救出する為の戦争に巻き込まれていく。
クリムは最後おかしくなりましたね。
可笑しくもなるのかな…最愛の人を奪われたり否定されたりもらしたら…それでも最後は嫌な奴に感じました
実はエリアルは結婚をして奥さんのお腹の中には赤ちゃんが。
そうして、戦いの中子供が産まれるのですが、その場に居合わせたのがマキア
マキアはエリアルの妻の出産に立ち会い初めて命が産まれる瞬間を眼にする。
そうして、マキアは戦場で傷付いたエリアルの元へと向かう。
傷付いたエリアルを看病しながらエリアルとの出会いを話す。
でも、エリアルはそれを聞きたくなくて…だって、それでも育ててくれたのはマキアだから…でも、最後の最後でエリアルの本心からの「母さん!」それはマキアが本当の意味でお母さんになった証。
そうして、マキアは次にレイリアを救出にくる。
レイリアは最後に娘に会って言葉を交わせました…娘の笑顔がその時初めて見えましたね。
そして、凄く時間が流れてマキアの取り上げたエリアルの娘に子供が出来て…エリアルはもぅ寿命を付きそうになる。
そんな中、訪ねてきたのが母であるマキア…エリアルはマキアに「おかえり」と言い息を引き取る。
彼女はお母さんだから泣かないと約束したけど最後は泣いてしまった。
お母さんであった頃を思い出して…そこには確かに大切な絆と思い出があって。
辛い事や苦しい事もあったけど幸せだった時間。
だからこそ泣いてしまう。
本当に大切な時間だったのですから。
この作品は展開に無駄が無さすぎてポンポン物語が進む感じがしますが…
逆に少し加えて欲しいと思ったのはエリアルの成長が早くて、え?もぅ成長したの?ってなります(つд;)
数年後とか季節の変わりなどを解りやすくいれて欲しいとおもいました。
でも、母と子の絆の強さとか、お母さんの子供への気持ちとかをよく描けていました。
一方、エリアルの方も時には不貞腐れていたりお母さんに少し反抗してみたりお年頃に必ずある心の変化などを感じる気がします。
その後の後悔とかも子供の気持ちを汲んでる気がします。
「貴女の事、母親だなんて思っていないから」辛いだろうなぁ〜こんな事を言われたら…血が繋がってないからお母さんからしたら余計に痛いと思います。
そこはどうしても気になる部分だと思います。
でも、年頃の子って本心で辛く当たってしまう訳じゃなくて…
酷い事を口にして傷付けて…本心では、そんな事を口にした自分が許せなくて情けなくて…「ごめんなさい」なんて一言すら言えなくて、素直になれなくて嘘の言葉でまた辛く当たってしまう。
作中ではそうした後悔を吐くエリアルのセリフもありよく出来てるなぁーと感心しました。
逆にマキアの母としての気持ちや苦悩、喜びもよく表れていました。
子育ての大変さ…中々上手く行かない事もある。
子育てをしながらだと、出来る仕事も限られる…住む場所も宿泊場所を探す大変さや早く子供に落ち着ける家も用意してあげたいと言う気持ちも感じました。
年頃の子供は自分の事を子供扱いをする事をウザがります、子供がくれたものは嬉しいからいつまでも残しておくのを見て恥ずかしく思ったりもします。
でも、親から見れば子供は何歳になろうと子供なのです。
別に子供扱いしてる訳ではなく親と子はいつまでも変わらないのだと思います。
子供から貰った物も大切な思い出だから嬉しいものなのです。
ラングに告白された時のエリアルの事で精一杯って話もお母さんが子供を大切にして第1に考えている部分をよく描けていた気がします。
作中で一番成長したのはマキア。
最初は凄く弱々して、でも、お母さんになろうと決意してから少し強くなって^ ^
エリアルからも好きになって貰える様な優しいお母さんになって成長した息子夫婦を助けて、友達を救い出す。
一番強くなったと思います。
後、素敵に感じたのはエリアルに出会う森のシーンで、マキアは多分崖から飛び降りようとしていました。
でも、エリアルの泣き声を聞いて思いとどまった。
マキアはエリアルを育てる決意をしエリアルの命を救う。
これはお互いがお互いの命を救ったのだと私は感じました。
この作品を通じて命の大切さや儚さ親子の絆の大切さ、など沢山の事を考えるきっかけにもなりました。
物語の展開は早いですが、しっかりメッセージ性は伝わった様な気がします。
作品全体を見て感じたのは1人の少女が1人で子供を育てるのは無理ですが、この作品に出て来た人達はマキアと赤ん坊に手助けをしてくれた。
酷い人も出ていたけど手を差し伸べてくれる人や事情を理解して雇ってくれた人など沢山の理解と助けとマキアとエリアルの頑張りの記録。
人は1人では生きていけないと聞きますが、この作品がまさにそれを感じます。
最後に静止画ですがマキアの幸せの形が描かれています。
これが彼女の掴んだ未来。
素敵な1シーンだと思います。