Fanatic さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ほのぼの日常系×社会人モノとしても完成度の高いきらら作品☆
制作は動画工房。
監督は「GJ部」「未確認で進行形」「プラスティックメモリーズ」等の藤原佳幸さん。
シリーズ構成・脚本は「CLANNAD」「ココロコネクト」「放課後ていぼう日記」等の志茂文彦さん。
キャラデザは「未確認で進行形」「魔王城でおやすみ」等の菊池愛さん。
原作は『まんがタイムきららキャラット』に連載中の、ゲーム制作を題材にした4コマ漫画作品です。
まんがタイム×「ゲーム制作」というと、学校のクラブ活動風景として描いた「ステラのまほう」などを思い出しますが、本作「NEW GAME!」は商業作品の制作現場を描いた社会人モノです。
もちろんきらら系ですので、キャッキャウフフでちょい百合のユルフワな職場になっています。
登場する同僚・先輩社員はすべて女性。
アニメ版では説明がありませんが、原作では会社の方針で制作チームを男女別に分けているとの設定が、一応あります。
ただ、いい訳みたいな設定ですので、そこはきらら風にアレンジしたきららファンタジーとして割り切った方がいいでしょう。
作画は非常に丁寧で、菊池愛さんデザインによる可愛らしい女の子たちが、躍動感のある動きや細やかな表情で、生き生きとした感情表現を見せてくれます。
このあたりの表現力はさすが動画工房と言った感じ。
序盤から中盤にかけて、高校を卒業したばかりの主人公・涼風青葉がゲーム制作会社「イーグルジャンプ」に入社し、少しずつ仕事を覚えながらゲーム制作に深く携わっていく様子が描かれてゆきます。
最初のうちは、仕事場でもオフでも『青葉と先輩達との交流』でほとんどのエピソードが終わってしまい、青葉が携わる仕事もひたすらRPGゲームの村人を作るという地味な作業ばかり(新人らしいと言えばリアリティはありますが)。
青葉も良い子なら周りもいい人だらけで、よく言えばストレスフリーなんですが、悪く言えば起伏が少ない。
つまらなくはなかったものの一向に話も膨らまず、やや単調な流れに『これで最後まで持つのかな?』と心配になったんですが、青葉の親友で大学生の桜ねねが、夏休み中のアルバイト要員として採用されてから、面白さのギアが数段上がった気がしました。
とても社会人には見えない幼顔キャラの桜ねね。喜怒哀楽が豊かで変なテンションのあるムードメーカー枠なんですが、この手のキャラにしては珍しくきちんとストーリーにも貢献していて、個人的には本作のキーパーソンだと思ってます。
桜ねねと、彼女の指導係になったうみこ(あはごん)の絡みも、最初はプロ意識の欠如したアルバイトと厳しい社員という、やや反目したような関係だったのが、次第にお互いの仕事ぶりを認めるようになり、最終話では少しジーンとくるやりとりも見られます。
ほんわかぽわぽわキャラが多い中、社会人らしい厳しさを持ったうみこは、お仕事系として作品を引き締める上でも重要な役割を担っていたと思います。
原作者の得能正太郎さん自身が数年間ゲーム会社での社蓄経験があり、本作もその体験を基にして描かれているそうです。
それだけに、「ステラのまほう」のように舞台設定だけの日常パート主体作品とは違い、本格的な社会人モノとしても機能している点が高評価ポイントでした。
もちろんきらら系ですから、例えば「SHIROBAKO」のような写実性を追及した社会人モノとは違い、残業や休日出勤まで楽しそうにこなすなど、終始明るいタッチで社会人女性の仕事ぶりを描いてゆきます。
リアリティのある社会人モノを求めていると物足りないと思いますが、ほのぼのとした日常描写と、ゲーム制作を軸としたストーリー性の掛け合わせ方は、個人的にはベストミックスに近いと思っています。
テンポも良好で笑えるシーンも多く、明るく朗らかな作風で鑑後感も爽やか。
個人的に、ゆるいだけのオチのない掛け合いが苦手で、個人的に当たり外れが大きいのもきらら系なんですが、こちらはそんな私でも楽しめる良作でした。