Fanatic さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
癒しだけのメルヘンじゃない。完成度の高いエンタメ短編群♬
原作未読。
制作Lerche(スタジオ雲雀)、安藤正臣監督は「がっこうごらし」「ダンガンロンパ3」「彼方のアストラ」等と同じタッグ。
シリーズ構成の吉田玲子さんは、同時期では「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」、過去の来歴でも「けいおん」「ガルパン」「のんのんびより」など、私の好きな作品が年譜上に多く見かけられ、それなりの期待感を持って視聴を始めましたが、期待以上の出来でした。
簡単に言えば、森の中で暮らす小人たちの様子を描いた日常系作品。
日常系は好きなジャンルなんですが、実は、癒し系の空気感を前面に出しすぎた、例えば「ARIA」シリーズのように物語の抑揚が極端に少ないものは苦手で、本作も、メルヘンなキービジュアルからその系統なんじゃないかと懸念してたんですが……。
観始めてすぐに、三頭身の可愛らしいキャラがテトテトと動く姿にやられました。
決してあざといわけじゃなく、彼女らにとっては普通の動きなのでしょうが、小人の日常を見事に描き出す何気ない所作、そのアニメーションにまず脱帽。
CVは、もう少し子供っぽい声を想像していたので最初は違和感がありましたが、小人界ではあんな見た目でも十分に大人なんですもんね。
そう思いながら聞いていたらすぐに慣れました。
何より良かったのは、単なる癒し一辺倒のメルヘン作品じゃなく、それぞれのエピソードが、アドベンチャーあり、ハートフルあり、コメディありと、きちんとオチのついたメリハリのある短編群になっていたこと。
一回に、1~3話ほどエピソードが入っていますが、世界観がしっかり練られているだけでなく、そこに根付いて暮らしている小人たちの息遣いまで伝わってくるような説得性を感じました。
きちんと、エンタメ作品として魅せる内容になっていたことが、個人的には一番の好評価ポイントでした。
主人公は、タイトルにもなっていますが、男っぽくて楽観的なハクメイと、女の子らしくお姉さん肌のミコチ。
ハクメイは最初、ずっと男の子だと思いながら観ていて、どちらも女の子ですが、夫婦物っぽい雰囲気もある作品でした。
工作や大工仕事が得意なハクメイと、料理や裁縫が得意なミコチが、森の素材を利用してさまざまな物を作るシーンが多くて、ファンタジーですが、とてもリアリティのある生活感がキーノートとなっています。
森とは言っても、さまざまなお店が立ち並ぶ、まるで中世ヨーロッパのような市街地があったり、潜水艦やロープウェーのような乗り物も登場したりと、どちらかいうと自然界というよりは異世界ファンタジーのような世界観。
脇を固めるサブキャラたちもよかったですね。
特にお気に入りは、ちょっと生意気だけど意外と素直な吟遊詩人のコンジュ、
ハクメイの大工の師匠の鰯谷、
やる気があるのかないのか分からないけど腕は確かな美容師シャダ。
もちろん、彼(彼女)ら以外にもたくさんの住人が出てきて物語を彩ります。
作画も申し分なし。
そのまま劇場版にしても遜色がないくらいのクオリティが、最初から最後までずっと維持されていました。
日常系が好きな方はもちろん、癒し日常系はメリハリがなくて苦手!
……という私みたいな人でも、これなら楽しめるかもしれませんよ!
おすすめです(*ゝωσ)✧*。