タック二階堂 さんの感想・評価
4.3
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
こっちのほうが、よっぽど「ドラ泣き」だ。
詳細は必要ないでしょ。「ドラえもん」知らない人なんていないと思います。
この作品は1999年に『ドラえもん のび太の宇宙漂流記』と同時上映公開された劇場版ドラえもんの映画作品ですよ。尺は25、6分といったところ。
しかし、そんな尺を感じさせないほど、本当にいろいろな感動が詰まった作品です。
まず、この映画の予告編から泣かされます。のび太がドラえもんに語りかけるようなセリフ。
「いつの間にか僕は、夜中に1人でトイレに行けるようになった。ひとりで電車に乗って会社に通うようになった。でも、本当に僕は変わったのかな? ねぇ、ドラえもん。僕は明日、結婚するよ」
{netabare}
ストーリーは、のび太が横断歩道で大きな荷物を背負ったおばあさんの手助けをするところから始まります。おばあさんに「あんたは将来、いいお婿さんになるよ」と言われ、有頂天になるのび太。しかし、帰り道に出来杉としずかちゃんが白雪姫の劇の練習で仲睦まじい姿を見て、本当に自分は将来、しずかちゃんと結婚するのだろうかと不安になります。
そんな愚痴をこぼすのび太を見て、ドラえもんは「それじゃタイムマシンで結婚式を見に行こう」と言います。
そしてタイムマシンで到着したのは、のび太の結婚式前日だったんです。ドラえもんのタイムマシンの設定ミスで。そんなところへ、日程を間違えた未来ののび太が登場。すったもんだあって、ウエディングドレスの試着に来ていたしずかちゃんと会って、その帰りにトラックに引かれそうになったネコを助けます。
そのネコは、飼い主とはぐれ、しかも飼い主一家はアメリカに引っ越すとのことで、空港まで送り届けるという。車で現れたジャイアンとスネ夫の助けもあり、無事にネコを飼い主に引き渡すことができました。
そんなこんなで、のび太は結婚前夜、ジャイアンやスネ夫、出来杉らと剛田商店で飲み会を。一方、しずかちゃんは実家で最後の夜を両親とともに過ごします。しずかちゃんは寂しそうな父親の姿を見て、結婚を逡巡するのですが、父親からのび太を選んだ選択は間違っていないと諭し、無事に結婚することになるのでした。
{/netabare}
というお話。
冒頭のおばあさんを助けるところから、おとなになったのび太がネコを助ける、そのネコを飼い主に送り届けるといった展開まで、のび太という人間の心の優しさを見せていきます。そして、土手で偶然会った先生に自分の上着を貸し、土手で転んで踏みつけてしまったタンポポを添え木して助けるところまで、とにかく優しいというところを表現していきます。
そして、大人になった視聴者の僕たちは、ジャイアンやスネ夫、出来杉と、のび太の関係性に涙が止まらなくなります。幼馴染が成長し、大人になっていい友人関係を築いているんだなということが本当に伝わってきます。
さらに、結婚前夜の不安定な気持ちのしずかちゃんに、父親が話す言葉に、嗚咽が出るほどの号泣。しずかちゃんの父親のCVは名ナレーターの久米明さん(久米宏さんのお父さんね)。朴訥でありながら、温かいセリフには涙が流れて止まらないです。そして、有名なあのセリフ。
{netabare}
「のび太くんを選んだ君の判断は正しかったと思うよ。あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ。それが一番、人間にとって大事なことだからね。彼なら間違いなく、君を幸せにしてくれると信じてるよ」
{/netabare}
これで泣かない人なんているんでしょうかね。
まさしく名作。ほぼ1話の尺で、ここまで泣かされた作品はないかもしれませんね。それに比べ、某3DCGの何が「ドラ泣き」だって話ですよ。こっちのほうが、間違いなく「ドラ泣き」です。