テトラポット さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
聲の形は一つじゃない
いじめで加害者の感情が語られることはない。
これがもし、広い視点で「争い」と捉えられる作品ならば「被害者と加害者」ではなく、よくいう「正義ともう一つの正義」である。
これは価値観の相違がもたらすものであるため、たとえ作中で宿敵として描かれている存在が相手だったとしても、相手に共感、理解をすることで、メッセージ性が深まる。
だからといって聲の形が勧善懲悪的な要素を含んだの物語というわけではない。
さっきも言ったようにどんな物語でもいじめの加害者の感情は語られない。
これはもう、価値観がどうとかいう問題以前の未熟さゆえである。
そんな感情の無いいじめっ子を復讐劇らしくやっつける方法はいじめしかない。
被害者の硝子と加害者の将也とクラスメイト。
次に、被害者の将也と加害者のクラスメイト。
悪を懲らしめる正義はいじめという手段を取ったことで、正義ではなくなる。
しかし、将也は加害者ではあるが、反省をして後悔することで、彼に共感、理解することはできる。
形は価値観の相違と違えど、これも新しい表現の一つである。
将也と硝子が互いの聲を知ることで、この物語を少しでもハッピーエンドに近づくことができるのだ。