テトラポット さんの感想・評価
3.9
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
僕らの大いなるバビロン
野崎まどがこのアニメの終着点で伝えたかったことは、自殺は正しいことなのか、ではなく善いこととは何かだった。
曲世愛は物語の起点、ギミックの柱となって登場した。
つまり彼女は物語の本質に向かうための手段としてあっただけで、本編ではない。
彼女は物語の中では異常な倫理観と能力を持つ宿敵の立ち位置で描かれている。
肝心な能力については言及されておらず、もうそういう存在とされているため完全にファンタジーである。
さっき言ったことと矛盾するようだが、彼女には到底倫理観といえるものはあったもんじゃない。
これは当たり前のことで、人を殺していけないことくらい誰でもわかる。
曲世はその集合的無意識の真反対にいるもう一つの集合的無意識の体現であると言える。
完全な自分自身の悪を目の当たりにした時、人は一体どうなってしまうのだろうか。
きっと悪は人の心に漬け込み悪いことをするだろう。
まさに一番単純な死もたらしている。
これは価値観の先にあるさっき言った集合的無意識や本能的な話が描かれている。
アニメの中では自殺法の支持者もたくさんいた。
しかし、彼らは僕たちと同じように曲世に共感できても、善の根本的な心情が違っていただろう。